14日、2020年東京五輪・パラリンピック競技大会組織委員会が都内で2015年最初の調整会議を開き、大会開催基本計画等について話し合った。組織委は国際オリンピック委員会(IOC)が開催都市に種目追加を提案する権利を認めたことを受け、追加種目の選定を行う検討会議の設置を決めた。メンバーは日本経済団体連合会の御手洗冨士夫名誉会長が座長を務め、日本オリンピック委員会(JOC)の青木剛副会長兼専務理事、東京都の秋山俊行副知事、遠山敦子元文部科学相、日本レスリング協会の福田富昭会長ら7人。オブザーバーとして組織委の室伏広治スポーツディレクター、JOCの高橋尚子理事、文部科学省の久保公人スポーツ・青少年局長の3人が選ばれた。今後は大会開催基本計画の概要を19日のアスリート委員会とメディア委員会、23日の理事会を経て承認される見通し。IOCとの大会準備に向けた事務折衝の第3回プレジェクトレビューは2月4日から開催される。
(写真:議事報告で記者の質問に答える武藤事務総長<左>と森会長)
 モナコでのIOC臨時総会から1カ月以上が経った。トーマス・バッハ会長が推進した40項目からなる中長期改革案「五輪アジェンダ2020」は採択された。これにより種目追加や分散開催など東京五輪・パラリンピックへの影響は必至とみられている。

 調整会議後の議事報告で、組織委の森喜朗会長は「大会開催基本計画の中身について、各委員の皆さんのご了承をいただいた。今後、この計画の下で役割分担、連携を図っていくことについて合意を得ることができました」と語った。その中身については武藤敏郎事務総長が「大会ビジョン、52に及ぶファンクショナルエリアによるそれぞれの作業目標。今後の進め方のロードマップやエンゲージメントをどのように高めていくか。パラリンピックに対して積極的に取り組む。これらを主な内容とするものです」と話すにとどまった。

 国内で特に注目を集めている種目追加である。組織委は検討会議の設置を決め、7人のメンバーと3人のオブザーバーを選んだ。議会が開かれるのは、次のプロジェクトレビュー以降と見られており、2月にIOCに提出する大会開催基本計画には盛り込まないという。決定する期限も森会長は「7月のクアラルンプールで決めていただくのが常識的」との考えを示しながらも、「日本で勝手に決めるものではない。IOCと相談して協議を進めたい」と述べた。

 既にモナコでの決定を受け、野球・ソフトボール、空手、スカッシュなどの各競技団体が名乗りを上げている。5日前には 世界空手連盟のアントニオ・エスピノス会長が組織委の森会長とJOCの竹田恒和会長を訪問した。各団体のアピール攻勢に森会長は「国際連盟の会長が来られたら、私も竹田会長も礼儀的にお会いしないわけにはいかない」と困っている様子。「煽り行為をしたり、陳情合戦を繰り広げるようならペナルティ」とクギを刺した。

 この日、政府が閣議決定した2015年度の予算案で、スポーツ関連予算は過去最高の290億円(前年比34億円増)となった。当然、東京五輪・パラリンピックに向けてのものも含まれており、大会への気運はより高まってきている。日本でも議論されている追加種目や会場計画の見直しについては、さらにヒートアップしていく可能性もある。武藤事務総長は「2月のプロジェクトレビューでIOCがどういう考えを持っているのか。はっきりしないところがあるので、いろいろ話をお聞かせいただきたいと思っています。それまでは白紙と言わざるを得ない」と慎重な姿勢を崩さない。東京としては、無計画という名の白紙では困るが、柔軟性を持った対応で備えていきたい。

(文・写真/杉浦泰介)