16日、アジアカップ2015グループリーグD第2節がオーストラリア・ブリスベンで行われ、日本代表はイラク代表を1−0で下した。日本は前半開始から主導権を握ると23分、FW本田圭佑(ACミラン)のPK弾で先制した。その後も日本が押し込む展開が続き、リードしたまま試合を折り返した。後半は前線からのプレスを強めてきたイラクの攻勢に遭ったものの、守備陣が落ち着いて対処。日本は追加点を奪えなかったが、連勝を収めてグループリーグ突破に大きく前進した。グループリーグ最終節は20日にヨルダン代表と対戦し、引き分け以上の結果でベスト8進出が決まる。

 遠藤、国際Aマッチ通算150試合達成(ブリスベンスタジアム)
日本代表 1−0 イラク代表
【得点】
[日本] 本田圭佑(23分)
「結果が出たことは良かったが、ゲーム内容をもっとよくしていかないといけない」
 MF長谷部誠(フランクフルト)は試合後にこうコメントした。得点はPKでの1点のみ。日本は決定機をことごとくはずし、自ら試合を苦しい展開に持っていってしまったように映った。

 長谷部が「点が入るところまではいい縦パス、スイッチが入っていた」と手応えを感じていたように、序盤は引いて守るイラクをうまく崩せていた。前半11分、右サイドでボールを持った本田が相手選手を1人引きつけ、PA内へスルーパス。ここにインサイドハーフのMF香川真司(ドルトムント)が走り込み、右足でシュートを放った。ボールはゴール左へと外れたが、後方からの飛び出しからうまくゴール前のスペースを突いたシーンだった。

 その後も日本はサイドからチャンスをつくりだしていった。17分、DF長友佑都(インテル)がイラク陣内の左サイドにこぼれたボールを拾い、右足でゴール前にクロスを上げた。ファーサイドでフリーとなっていた本田が頭で合わせたシュートはゴール右ポストを直撃。この試合最初の決定機を生かすことはできなかった。

 22分には完璧な崩しでイラクゴールに迫った。国際Aマッチ通算150試合目となったMF遠藤保仁(G大阪)がPA内左サイドへスルーパス。受けたMF乾貴士(フランクフルト)が折り返したボールを、香川が右足で狙った。これはGKに防がれたものの、ルーズボールを拾おうとした本田が相手DFに倒されてPKを獲得した。

 倒された本田は判定がPKであることを確認すると、すぐさまボールを手にとった。そして、左へ飛んだGKの逆を突いて、ゴール右下へシュートを蹴り込んだ。本田の2戦連続PK弾は本人が「大事な時間帯だった」と語ったように、日本ペースの間に欲しかった貴重なゴールだった。

 日本は先制の勢いに乗って追加点を奪いたいところだったが、今ひとつ、リズムにのることができない。岡崎がシュートを放つ場面があったものの、リードを広げられないまま試合を折り返した。

 迎えた後半開始早々、本田が右足でミドルシュートを放ったが、クロスバーに跳ね返ってまたもゴールはならなかった。
 なかなか追加点を奪えない中、19分、ハビエル・アギーレ監督は乾と遠藤に代えてMF清武弘嗣(ハノーファー)、MF今野泰幸(G大阪)を投入した。この直後、FW岡崎慎司(マインツ)がピッチ中央付近で自陣からのロングフィードを胸で左サイドへ展開。反応した香川がドリブルでPA手前まで運び、タメをつくってからPA内左のスペースにスルーパスを通すと、走り込んできた清武がダイレクトでファーサイドへ速いボールを送った。触れば1点の場面、フリーで待ち構えていた本田は右足で合わせたものの、シュートはゴール右ポストを叩いた。本田にとってはこの試合3度目の“不運”。背番号4は「(決定機を)決めないと大事な試合は勝てないと思うので非常に悔しい」と唇を噛んだ。

 日本はその後も香川、清武、岡崎がシュートを放ったが、追加点を奪うことはできなかった。守備面は決定的なピンチを迎えることなく安定感を示したものの、決定力不足は顕著だった。本田は1ゴールを決めたが「いいプレーができたとは思っていない」と自身の出来に不満を口にした。この日の気候は気温28度、湿度84パーセント。高温多湿な試合環境で、ファールなどでプレーが止まるたびに選手が水分補給を行う姿が見受けられた。長谷部も「先制点を取ってからペースを落としてしまった」と素直にペースダウンを認めた。それだけに、試合を優位に進めるための追加点が欲しかった。

 一発勝負の決勝トーナメントに進めば、1点の重みはより増していく。アギーレ監督は「今日はクロスを何度かトライして、良い形になって良かった」と語っていたが、ヨルダン戦で日本はチャンスの数ではなく、ゴールの数をチームとして求めていかなければならない。