25日、ジャパンラグビートップリーグ2020シーズンのプレスカンファレンスが都内ホテルで開催され、全16チームの代表者が出席した。総当たりのリーグ戦を全120試合行う。新シーズンは来年1月12日に開幕する。

 

 W杯日本大会はジャパンの躍進もあり、大きな盛り上がりを見せた。次はトップリーグがその熱を引き継ぐ番だ。新シーズンはW杯の影響で、年明けからスタートする。1月12日から5月9日までの約4カ月間で覇を競う。史上初のベスト8入りに貢献したジャパンの31人中29人がトップリーグに戻った。その面々に加え、世界のW杯戦士がトップリーグに登場する。“にわかファン”をも引き込むチャンスである。

 

 PR稲垣啓太、HO堀江翔太、WTB福岡堅樹らW杯に最多6人のジャパン戦士を輩出したのがパナソニック ワイルドナイツだ。このタレント軍団にオーストラリア代表(ワラビーズ)FLデービッド・ポーコックが復帰し、ニュージーランド代表(オールブラックス)LOサム・ホワイトロックと南アフリカ代表(スプリングボクス)CTBダミアン・ディアレンデが加わった。

 

 更に豪華な布陣で4季ぶりの優勝を目指す。新キャプテンには4年目のHO坂手淳史が就任した。

「“勝つために”というところに基準を置いて行動しています」

 帝京大学でもキャプテンを任された男が、新・野武士軍団をまとめ上げる。

 

 パナソニックに次ぐ5人のジャパン戦士が所属するのはサントリーサンゴリアスだ。キャプテン4シーズン目のSH流大は、オーストラリア代表103キャップを誇るSOマット・ギタウと同26キャップのFL/No.8ショーン・マクマーンと共同キャプテン体制で臨む。サントリーにはオーストラリア代表CTBサム・ケレビが加入し、選手層は厚みを増した。

 

 開幕戦はFLリーチ・マイケルらを擁する東芝ブレイブルーパスとの府中ダービーだ。東芝の共同キャプテンの1人、FL徳永祥尭は「サントリーをボコりたい」とW杯中のリーチの発言になぞらえて挑発。流は「試合が終わればわかる。楽しみにしています」と冷静に対応した。

 

 連覇がかかる神戸製鋼コベルコスティラーズはジャパンのCTBラファエレ・ティモシーをコカ・コーラレッドスパークスから獲得した。オールブラックスのLOブロディ・レタリックというビッグネームも入団。昨季MVPのSOダン・カーター、正確無比のプレースキッカーSOヘイデン・パーカーも健在だ。

 

 トヨタ自動車ヴェルブリッツはNo.8姫野和樹がキャプテン3季目を迎える。パワフルなボールキャリーと相手からボールを奪うジャッカルで日本中を沸かせた。次期ジャパンのリーダー候補に挙げられる男は新加入のオールブラックスの元キャプテン、No.8キアラン・リードから帝王学を授かりたい。

 

 FLでもプレー可能な姫野はリードとの共存も可能だ。まずは近くで様々なことを吸収する姿勢でいる。

「基礎がしっかりしている。小さなところも大事にするのが一流の選手なんだな、と。タックルがすごい選手なので、そこはめちゃくちゃ盗みたいと思っています。どうやってあのパワーを生み出しているのか、細かいことも聞いてみたい」

 目指すはベストフィフティーンとMVPの両獲りでの優勝である。

 

 16シーズン目のトップリーグは観客動員数は初の60万人を目標に掲げる。過去最高はW杯イングランド大会後の15-16シーズンに記録した49万1715人だ。一気に50万人の大台を飛び越えた観客動員を狙う。20シーズンは全120試合だから1試合平均5000人がノルマとなる。

 

 流はこう意気込みを語った。

「16チームでトップリーグを盛り上げることが僕たちの使命だと思います。運営の方たちと協力し、ラグビーの価値をもう一段上げられるように頑張ります」

 トップリーグのキャッチコピーは<世界一、楽しもう。>だ。世界一楽しむために選手はプレーを、運営は環境づくりを。それぞれの持ち場で力を発揮してほしい。

 

(文/杉浦泰介、取材・写真/大木雄貴)