ラグビーでの新国立こけら落としは1月11日、全国大学選手権決勝が開催される。11季ぶり優勝を目指す早稲田大学と、連覇のかかる明治大学が対戦する。両校の決勝は23季ぶり。優勝回数は15度の早大と13度の明大という伝統校同士がぶつかり合う。

 

 元日のサッカー天皇杯決勝で、新国立のこけら落としとなったが、ラグビーでは初の公式戦開催である。旧国立では大学選手権をはじめ数々の名勝負、名場面が刻まれてきた。令和最初の大学選手権決勝の舞台となった新国立。収容人数6万人を超えるスタジアムでの決勝に選手たちの声も弾んだ。

 

 早大のSO岸岡智樹(4年)はこう気持ちを表していた。

「(会場に決定した瞬間は)1人でとび跳ねたという表現が正しいかもしれません。多くのお客さんを前でプレーできることは人生でも滅多に経験できることではありませんから」

 明大のWTB山﨑洋之(4年)も大きなモチベーションになっていると言う。

「本当に試合をしてみたい。(新国立でプレーするのは)全く想像できないですが、すごく楽しみ」

 

 今季両校の対戦は6月と12月。いずれも明大が勝利している。大分の招待試合は29-14、関東大学対抗戦36-7だ。明大のキャプテンHO武井日向(4年)は「(対抗戦の)早明戦の借りを返そうとハングリーに来ると思う。それ以上にチャレンジャー意識を持ち、優勝して最後は笑って終われるようにしたいです」と向かっていく姿勢を強調した。早大は12月の対抗戦を欠場したCTB中野将伍(4年)が復帰。準決勝では関西リーグ王者で、昨季準優勝の天理大学から8トライを奪うなどアタックの破壊力は増している。

 

 攻撃のタクトを振るうハーフ団の出来に注目だ。早大は1年生時からコンビを組むキャプテン齋藤直人と岸岡の4年生。明大は飯沼蓮(2年)、山沢京平(3年)と若き才能がアタックを操る。早大はパス、明大はランに特徴のあるハーフ団だ。

 

 早大の齋藤はジャパンのトレーニングスコッドに選ばれたこともある逸材である。スーパーラグビーに参戦するヒト・コミュニケーションズ サンウルブズのスコッド入りも果たした。岸岡はクレバーな司令塔タイプ。キックパスで大外のWTBへトライを演出する。またキック力を生かし、ロングレンジからドロップゴールを狙えるのも、対戦相手にとっては脅威となる。

 

 明大の飯沼はSH福田健太(現トヨタ自動車ヴェルブリッツ)の後を任された。高校時代は主にSO。準決勝の東海大学戦では相手のスキを突き、自らトライを奪った。昨季は主にFBだった山沢は突破力を武器に敵陣を切り裂く。準決勝のトライの多くは山沢が絡んだ。キックも正確でプレースキッカーを任されている。

 

 前評判は明大有利か。対抗戦を含め、負けしらずで勝ち進んできた。総合力は明大が上と見るが、攻撃力は早大も負けていない。初の新国立での早明戦。熱戦を期待したい。

 

(文/杉浦泰介)