トップリーグのプレーオフ「LIXIL CUP 2015」決勝が1日、東京・秩父宮ラグビー場で行われ、パナソニックワイルドナイツ(リーグ2位)が30−12でヤマハ発動機ジュビロ(リーグ4位)を破り、2年連続3度目の優勝を果たした。立ち上がりは一時、リードを許したものの、11分にWTB北川智規のトライで逆転。その後も3トライをあげてリードを広げた。ヤマハ発動機は33分にWTB中園真司が反撃のトライをみせたが、後半はパナソニックの粘り強いディフェンスにはね返され、初優勝を逃した。プレーオフMVPにはこの日もトライを決めた山田が2年連続で選出された。
 まさにパナソニックの横綱相撲だった。
 ブレイクダウンで上回ろうとしたヤマハ発動機の攻勢をしっかり受け止め、マイボールになれば、一気に攻め込む。セカンドステージ最終戦で敗れた相手に雪辱し、頂点に立った。
 
 ヤマハ発動機はリーグ戦4位ながら、準決勝では1位の神戸製鋼コベルコスティーラーズを圧倒し、勢いに乗っている。この日も、PGで先制されながら、パナソニックの反則に乗じ、キックで陣地を得てゴールに迫る。

 そして8分、ラインアウトからモールで押し込み、最後はNo.8堀江恭佑がトライ。FB五郎丸歩のコンバージョンも決まり、7−3と逆転する。

 しかし、王者は慌てなかった。11分、左サイドで押し込んだ後、SOベリック・バーンズが空いたスペースを見つけ、右前方へ蹴りだす。ヤマハの選手が誰もいないところで待ち受けていたのがCTB霜村誠一だった。霜村は落ち着いて北川にボールを渡し、再逆転に成功する。

 さらに22分には自陣から左へ大きく展開。山田が加速してライン際を一気に抜け出す。後ろから迫ってきたヤマハ発動機の選手を見て前方に蹴りだすと、しっかりバーンズがフォローし、ゴール内でボールを押さえた。場菜ソニックは相手のわずかなスキを逃さず、リードを広げる。

 そして28分も山田の個人技が光った。中央でボールを受けると、巧みにヤマハの守備陣を切り裂き、独走。この後、スーパーリーグ参戦が決まっているトライゲッターは「いいパスが来たんで思い切って走った」とゴール中央までボールを運び、トライを決める。20−7と点差が拡大し、試合の主導権を握った。
 
 ヤマハの反撃は33分。シンビン(一時的退出)でパナソニックが数的不利になったのに乗じ、ゴール前スクラムから左にボールを回す。最後は中園が飛び込んで、5点を返す。

 だが、試合巧者のパナソニックは、その後の時間帯をうまくボールを保持しながらしのぐ。前半終了間際に3点を追加し、23−12で試合を折り返した。

 後半に入ってからは、トライで点差を詰めたいヤマハ発動機が幾度となくアタックを仕掛ける。「非常に厳しい試合になった」とパナソニックのロビー・ディーンズヘッドコーチが振り返る展開となったが、青のユニホームに身を包んだフィフティーンは分厚い壁となり、相手の前進を許さない。スコアが動かないまま、試合は終盤を迎えた。

「みんなディフェンスで我慢して、最後にチーム一丸となってまとまった」
 キャプテンのHO堀江翔太が語ったように、耐えて耐えた後はパナソニックにチャンスが巡ってくる。途中出場のJP・ピーターセンが相手ボールを奪い取ると、右ライン際を走る北川にパス。鮮やかなカウンターアタックでダメ押しトライをあげた。

 堀江、SH田中史朗、山田ら日本代表の主力を擁し、チーム力はリーグ随一だ。昨季に続くリーグ制覇に「今年はどのチームも倒そうとしてきたのは肌で感じた。プレッシャーが大きかった分、うれしい」と堀江は喜びを表現した。来週からスタートする日本選手権ではチーム初の2年連続2冠に挑戦する。