ラグビー・トップリーグの年間表彰式が2日、東京・明治記念館で行われ、MVPには優勝したパナソニックワイルドナイツのSOベリック・バーンズが選ばれた。バーンズはキック成功率82.61%で、156得点をあげ、ベストキッカーと得点王にも輝いた。最多トライゲッターはNECグリーンロケッツのWTBネマニ・ナドロ、ヤマハ発動機ジュビロのNo.8堀江恭佑、神戸製鋼コベルコスティーラーズのWTB山下楽平が、ともに11トライをあげて受賞した。新人王には最多トライゲッターを獲得した山下が選出された。
(写真:ベストフィフティーンにも選ばれ、4冠を達成したバーンズ)
 連覇に貢献した頼れる司令塔が堂々のMVPだ。
 昨季からパナソニックの一員となったバーンズは今季もSOとしてチームを牽引。スペースをみつけ、相手守備網のスキを突く巧みなパス出しで攻撃の起点となっただけでなく、精度の高いキックで得点源にもなった。プレーオフ「LIXIL CUP 2015」決勝でも故障を押してプレーし、前半の3トライにすべて絡む働きをみせた。

 2季連続のMVPは、サントリーのFLジョージ・スミス以来、史上2人目だ。バーンズは「両サイドの選手が真ん中でトライしてくれた。感謝したい」とコンバージョンを決めやすい状況をつくってくれたチームメイトに感謝した。前回のニュージーランドW杯ではワラビーズの一員として3位を経験しており、日本がベスト8を目指すイングランド大会へ、「健闘をお祈り申し上げます。皆さんがあの舞台で活躍すれば、必ず勝ちにつながると思います」とエールを送った。

 新人賞の山下は今季、京産大から神戸製鋼入り。俊足を生かし、ファーストステージで4試合連続トライをあげ、セカンドステージでも7トライを量産した。最多トライゲッターと新人賞を同時に得るのはWTB北川智規(三洋電機、現パナソニック)以来2人目の快挙だ。

「一生に一度なので光栄。開幕前はいただけるとは全く思っていなかった」と喜びを口にしたルーキーは、「よく起用されていた14番(のポジション)にちなんで14トライを目標に決めていた。少し悔しい気持ちもある」と来季へさらなる高みを見据えていた。
(写真:昨季の新人賞、パナソニック・稲垣(右)から盾を受け取る山下)

 今季のトップリーグは396,421人が来場し、総入場者数は過去最多となった。プレーオフ「LIXIL CUP 2015」決勝では最多の16,304人を集め、日本ラグビー協会の森喜朗会長は「涙が出るほどうれしかった」と振り返る。

「ラグビーの主役が大学からトップリーグになった。トップリーグは面白いという信頼を得たと理解している」
 そう語った森会長は「ラグビーファミリーの形成がテーマ。一丸となって日本でのW杯を盛り上げたい」と2019年のW杯開催への決意を新たにしていた。

 その他の受賞チーム、選手は以下の通り。

【優勝】
パナソニックワイルドナイツ 2季連続3回目
【準優勝】
ヤマハ発動機ジュビロ
【3位】
神戸製鋼コベルコスティーラーズ
東芝ブレイブルーパス
【ベストファンサービス賞】
神戸製鋼コベルコスティーラーズ 2季ぶり10回目
東芝ブレイブルーパス 初
パナソニックワイルドナイツ 初
【フェアプレーチーム賞】
パナソニックワイルドナイツ 2季連続6回目

【ベストホイッスル】
麻生彰久 2季連続2回目

【ベストフィフティーン】
PR1 稲垣啓太(パナソニック) 2季連続2回目
HO  堀江翔太(パナソニック) 2季連続5回目
PR3 山下裕史(神戸製鋼) 初
LO  アンドリース・ベッカー(神戸製鋼) 初
LO  伊藤鐘史(神戸製鋼) 初
FL  アダム・トムソン(キャノン) 初
FL  リーチ・マイケル(東芝) 2季ぶり3回目
No.8 堀江恭佑(ヤマハ発動機) 2季連続2回目
SH  田中史朗(パナソニック) 4季ぶり4回目
SO  ベリック・バーンズ(パナソニック) 2季連続2回目
WTB 山下楽平(神戸製鋼) 初
WTB 山田章仁(パナソニック) 2季連続3回目
CTB 松下幸太朗(サントリー) 初
CTB ジャック・フーリー(神戸製鋼) 4季連続4回目
FB  五郎丸歩(ヤマハ発動機) 4季連続4回目

【特別賞】
・リーグ戦100試合出場達成選手
平島久照(神戸製鋼)
北川智規 (パナソニック)
荻原要(クボタ)
篠塚公史 (サントリー)
望月雄太 (東芝)
石神勝 (NTTコミュニケーションズ)
霜村誠一 (パナソニック)
谷口智昭 (トヨタ自動車)
伊藤鐘史 (神戸製鋼)
トンプソン・ルーク(近鉄)
重光泰昌 (近鉄)
山本大介(神戸製鋼)
佐藤幹夫 (近鉄)
青木佑輔(サントリー)
西浦達吉 (コカ・コーラ)
菅藤友 (宗像サニックス)
【功労賞】
谷口かずひと(レフリー、初の通算100試合担当達成)