ラグビーの日本選手権が8日開幕し、東京・秩父宮ラグビー場で行われた1回戦の帝京大−NECグリーンロケッツは、大学選手権6連覇中の帝京大が31−25で逃げ切って金星を収めた。大学勢がトップリーグのチームを下すのは、06年に早稲田大がトヨタ自動車を破って以来、9年ぶり。帝京大は15日の2回戦で東芝ブレイブルーパスと対戦する。今回の日本選手権には大学選手権ベスト4以上の4チームが出場したが、他の筑波大、東海大、慶應義塾大はいずれもトップリーグチームの厚い壁に跳ね返され、初戦敗退した。
 打倒トップリーグを大目標に掲げていた大学王者が、その一角をついに崩した。
 NECは今季、リーグ戦10位とはいえ、日本代表CTBの田村優、トンガ代表のFLニリ・ラトゥらを擁する。だが、例年以上にトップリーグとの合同練習や練習試合を重ねてきた帝京大は一歩も引かなかった。

 前半6分に先制トライを許すも、敵陣での相手ラインアウトを奪い、10分にSO松田力也がゴールに飛び込んで同点に追いつく。直後に再びトライを与えたものの、30分にはNo.8河口駿が抜け、再び試合は振り出しに。その後も互いにPGを1本ずつ決め、17−17のタイスコアで試合を折り返した。

 迎えた後半も、帝京大はブレイクダウンでNECと互角に渡り合い、膠着状態が続く。PGで3点ずつを取り合い、勝負どころの終盤で先にリードを奪ったのは帝京大だ。27分、相手に反則に乗じ、キッカーの松田が、この日3本目のPGで勝ち越す。

 さらにボールをキープして攻めると、35分、敵陣で主将の流大がスペースに蹴り出し、ボールがインゴールに転がる。これをWTB尾崎晟也が押さえ、28−20と点差を広げた。

 NECはトップリーグの意地をみせ、終了間際にトライをあげて3点差に詰め寄ったが、ラストワンプレーで反則を犯して万事休す。勝利を確信した帝京大のフィフティーンが歓喜の声をあげ、PGでさらに3点を追加し、ノーサイドを迎えた。

 2回戦ではリーグ3位の東芝に挑む。3年前の日本選手権では後半に突き放され、19−86と大敗した。その時の主将だったSO森田佳寿が、現在、東芝でキャプテンを務める。トップリーグ撃破でさらに波に乗る大学最強軍団を、いかに選手権6度優勝の雄が食い止めるか。興味深い一戦になりそうだ。