(写真:打撃戦の末、ケイプ<左>に敗れた朝倉 ©RIZIN FF)

 格闘技イベント「RIZIN.20」が31日、さいたまスーパーアリーナで行われた。RIZINバンタム級王座決定戦は、朝倉海(トライフォース赤坂)がマネル・ケイプ(アンゴラ)に2ラウンド38秒TKOで敗れ、ベルト獲得を逃した。キックボクシングルールで対決した那須川天心(TARGET/Cygames)は江幡塁(伊原道場)を1ラウンド2分46秒TKOで下した。アメリカの格闘技団体「Bellator」との対抗戦は海の兄・未来(トライフォース赤坂)が勝ったものの、通算2勝3敗で負け越した。

 

 そのほかRIZIN女子スーパーアトム級タイトルマッチは女王・浜崎朱加(AACC)が挑戦者ハム・ソヒ(韓国)に判定で敗れ、王座陥落。ライトヘビー級タイトルマッチは王者イリー・プロハースカ(チェコ)が、C.B.ダラウェイ(アメリカ)を1ラウンド1分55秒KO勝ちで初防衛に成功した。ライト級トーナメントはトフィック・ムサエフ(アゼルバイジャン)が制した。

 

(写真:この日試合のあった兄の未来はセコンドについた ©RIZIN FF)

 2019年に快進撃を続けていた朝倉海だったが、“アンゴラの暴走王”に勢いを止められた。

 

 当初は初代王者の堀口恭司(アメリカントップチーム)と朝倉海がタイトルマッチを行う予定だった。ところが、堀口の負傷によりベルトは返上された。朝倉海とベルトをかけて戦うのはケイプとなった。両者は昨年6月に対戦。朝倉海が判定勝ちを収めていた。

 

(写真:バンタム級のベルトを手にしたケイプ。試合後、前王者の堀口に駆け寄った ©RIZIN FF)

 1ラウンドはスタンドでの打ち合いとなった。勢いよく飛び込んでくるケイプに突進力に対し、朝倉海も応戦。スリリングな試合展開となったが、5分間では決着がつかなかった。

 

 しかし、幕引きはすぐに訪れた。ケイプの右が朝倉海の顔面を襲う。たまらずダウン。ケイプはパウンドで仕留めにかかってきた。抗う朝倉海だったが、レフェリーが試合を止めた。

 

 堀口に金星を収めるなどRIZIN参戦以降続いていた連勝はストップ。朝倉海は大晦日のメインに登場したものの、今年の主役として締めくくることができなかった。

 

 昨年の大晦日はフロイド・メイウェザー(アメリカ)とのエキシビションマッチでKOされた那須川が、自らの持ち場であるキックボクシングで実力を大きくアピールした。

 

(写真:俳優の三浦春馬と共に入場した江幡<中央> ©RIZIN FF)

 今回の対戦相手はWKBA世界スーパーバンタム級王者の江幡だ。新日本キックの軽量級エースがRIZINのリングに殴り込んできた。

 

“キックの主役はオレだ”と言わんばかりに那須川は開始から攻めた。スピード、パワーで相手を圧倒した。前蹴りでマウスピースを飛ばすと、ラッシュを仕掛ける。

 

(写真:本職のキックボクシングで圧倒的な強さを見せつける那須川 ©RIZIN FF)

 那須川は猛禽類の如く、獲物に襲いかかる。右フックでダウンを奪うと、計3度、江幡をキャンバスに沈めた。

 

 昨年は涙に暮れた大晦日のリング。今年は笑顔で締めくくれた。

「もっともっと強くなりたい」

 21歳の若きファイターはリング上で誓った。

 

(文/杉浦泰介)