第98回全国高校サッカー選手権大会の決勝戦、静岡学園高校対青森山田高校の一戦が13日、埼玉スタジアムで行われ、３対２で静岡学園が勝利し、24年ぶりに優勝を果たした。試合は前半11分、DF藤原優大がセットプレーから頭で決めて青森山田先制し、33分にはMF武田英寿がPKを決めた。前半アディショナルタイムには静岡学園のDF中谷颯辰がセットプレーの流れから押し込み、１点差に迫る。後半に入るとFW加納大のゴールで静岡学園が追いつく。40分には再びセットプレーから中谷がヘディングで押し込み、全国制覇を達成した。

 

　静学・井堀、高精度キックで２得点に絡む活躍（埼玉スタジアム）

静岡学園　３－２　青森山田

【得点】

［青］　藤原優大（11分）、武田英寿（33分）

［静］　中谷颯辰（45＋２分、80分）、加納大（61分）

 

　青森山田は史上９校目の連覇をかけて、静岡学園は24年ぶりの日本一をかけてこの決勝戦に臨んだ。

 

　前半11分、青森山田が左サイドで得たセットプレーからチャンスをつくった。キッカーのMF古宿理久が右足で高精度のボールをゴール前に供給。これをペナルティーエリア内ニアサイドで藤原がバックヘッド気味に合わせ、ゴールネットを揺らした。

 

　テクニックをいかしたドリブルが持ち味の静岡学園。サイドからドリブルで切り込み、チャンスを演出するが青森山田のDF陣が体を張って阻止する。

 

　33分、青森山田が追加点を奪う。主将の武田がペナルティーエリア内で倒されて得たPKを自ら左足で右隅に蹴り込んだ。浦和レッズに加入する10番のレフティーが落ち着いてPKを決めてみせた。

 

　対する静岡学園は、セットプレーから活路を見出した。前半アディショナルタイム、敵陣右サイドでのセットプレー。キッカーのMF井堀二昭が右足でクロスを入れる。青森山田DFがクリアー仕切れず、こぼれたところを中谷が右足ボレー。強烈なシュートはGKの右手をはじき、ゴール左隅に決まり、試合を折り返した。

 

　後半16分。静岡学園の応援席が沸いた。今大会初スタメンを果たした２年生FWの加納がペナルティーエリア内でボールを受けると、トラップをしつつ振り向く。すぐさま左足を振り抜くと見事ゴール右サイドに吸い込まれた。川口修監督は「目を見て起用を決めた」。９番を背負う２年生が見事、期待に応えた。

 

　静岡学園の勢いは止まらなかった。40分、敵陣深い位置でのセットプレー。キッカーの井堀はファーサイドに極上のクロスを供給。これに反応したのは、先制点を決めた中谷だった。どんぴしゃりのタイミングで頭で合わせたシュートはネットを揺らし、見事逆転に成功した。

 

　試合終盤、静岡学園は青森山田のロングスローによる猛攻をしのぎ、３対２で24年ぶりの優勝に輝いた。サッカー王国復活となるか。今後の静岡県勢の活躍にも注目していきたい。

 

（文／大木雄貴）