サッカー・富士ゼロックススーパーカップ、横浜F・マリノス対ヴィッセル神戸の一戦が8日、埼玉スタジアムで行われ、PK戦の末に神戸が勝利した。試合は27分、FWドウグラスのゴールで神戸が先制するも、9分後にMFマルコス・ジュニオールに得点を許した。40分、FW古橋亨梧の得点で神戸が1点リードし、試合を折り返した。後半9分、横浜FMのMF扇原貴宏が得点を決め、同点に。その後、24分に神戸のMF山口蛍が、28分にFWエリキが得点し、3対3の同点。後攻の神戸がPK戦を3対2で制し、ゼロックススーパーカップのタイトルを獲得した。

 

 熾烈極めたシーソーゲームはPKで決着 (埼玉)

横浜F・マリノス 3-3 ヴィッセル神戸

      (PK 2-

【得点】

[横] マルコス・ジュニオール(36分)、扇原貴宏(54分)、エリキ(73分)

[ヴ] ドウグラス(27分)、古橋亨梧(40分)、山口蛍(69分)

 

 攻撃重視の両クラブらしく、派手なシーソーゲームとなった。

 

 27分、MFアンドレス・イニエスタが魅せた。ゴール前でボールをキープし、相手DFを引き付ける。DF2人のわずかな隙間に右足でスルーパス。このボールに反応した新戦力のドウグラスがペナルティーエリア内左サイドから左足を振り抜く。シュートは右サイドネットを揺らし、神戸が先制した。

 

 36分、横浜FMがJリーグ王者の意地を見せた。ゴール前のルーズボールに横浜FMのFW仲川輝人と神戸のGK飯倉大樹が反応する。両者はペナルティーエリア内で激しく接触。再びこぼれたボールをジュニオールが頭で押し込んだ。

 

 40分、横浜FMのDFチアゴ・マルチンスがGK朴一圭にバックパスを試みるが、ボールは神戸の古橋の足元へ。敵からのプレゼントをもらった古橋はそのまま左足でゴールに流し込み、神戸が1点リードで試合を折り返した。

 

 後半9分、横浜FMが神戸DFの一瞬の隙をついた。敵陣左サイドのスローインから、エリキが相手DFの裏を取り、一気にビッグチャンス。中央に折り返すとボランチの扇原が得意の左足で合わせた。スローインの際、エリキの裏を取る動きに神戸はついていけなかった。

 

 24分、神戸はイニエスタを起点に相手ゴールに迫る。元スペイン代表MFが右サイドでボールを受け、ゴール前にグラウンダーのパスを供給。これは相手DFのチアゴ・マルチンスにクリアーさせたが、こぼれ球を山口が豪快に右足で蹴り込んだ。

 

 28分、横浜FMは後半開始からピッチに立ったMF遠藤渓太が技ありトラップからアシストを決めた。仲川が右サイドでボールを持つと、ファーサイドに構える遠藤にクロス。これを遠藤が右足でピタリと足元に収め、すぐさまゴール中央へラストパス。これをエリキが押し込み、三度横浜FMが追いついてみせた。

 

 魅力あふれるゲームは90分では決着がつかず、PK戦にもつれ込んだ。先行は横浜FM、後攻は神戸だった。両クラブとも2人目までは順調にゴールネットを揺らした。ところが、である。横浜FMの3人目、FWエジガル・ジュニオのキックをGK飯倉大樹がセーブすると、ここから両クラブ合わせ、9名連続でPK失敗。これはJリーグ史上最多連続PK失敗となった。

 

 不名誉な記録に終止符を打ったのは、神戸の7人目のキッカー、山口だった。冷静にGKの逆をついたシュートは綺麗に右隅に決まり、天皇杯王者の神戸がゼロックススーパーカップを制した。

 

(文/大木雄貴)