2015年の明治安田生命Jリーグが7日、開幕した。J1リーグでは今季、2ステージ制が11年ぶりに採用され、両ステージの覇者と年間勝ち点の1〜3位クラブによるチャンピオンシップが導入される。新方式での開幕戦は昨季王者のガンバ大阪が、ホームでFC東京と対戦。G大阪はFWパトリックとFW宇佐美貴史のゴールで2点を先行するも、FC東京のFW武藤嘉紀が2得点をあげる活躍で追いつき、2−2のドロー発進となった。
 J1初昇格を果たした松本山雅FCはアウェーで名古屋グランパス相手にセットプレーで先制。その後、同点に追いつかれたものの、新加入のFW池元友樹のゴールなどで2点を勝ち越す。しかし、名古屋も終盤に意地をみせて立て続けに得点を決め、3−3の引き分けで松本山雅の初勝利はお預けとなった。

 その他の昇格組はモンテディオ山形がベガルタ仙台とのみちのくダービーに0−2で敗れ、湘南ベルマーレは浦和レッズにPKで先制したものの、1−3で逆転負けを喫した。

 昨季、3連覇を逃したサンフレッチェ広島はエースストライカーの佐藤寿人が立ち上がりに先制弾を叩き込み、ヴァンフォーレ甲府に2−0で快勝。サガン鳥栖はFW豊田陽平のゴールなどでアルビレックス新潟に2−1の逆転勝ちを収めた。ACLに出場している柏レイソルは、昨年まで指揮を執っていたネルシーニョ監督率いるヴィッセル神戸に1−0で勝利した。

 8日はJ1の残り1試合(清水エスパルス−鹿島アントラーズ)が行われ、J2リーグも開幕する。

<川崎、自慢の攻撃力アップ>

 神奈川ダービーでの開幕となった横浜F・マリノスと川崎フロンターレの一戦は、川崎の攻撃力が爆発した。

 まず3分、電光石火の先制ゴールが生まれた。左サイドのMF大島僚太から前線のFW小林悠にパスが通り、ゴール前へ。逆サイドへ流し込んだボールを新加入のMFエウシーニョが押し込んだ。

 MF中村俊輔、FWラフィーニャらをケガで欠く横浜は齋藤学をワントップに据える布陣。だが、守りに回る時間帯が長く、齋藤にボールが渡る機会をなかなかつくれない。

 そんな中、試合の流れを呼び戻したのがベテランのテクニックだった。中盤でボールを持ったDF中澤佑二が、高い位置に保つ川崎のDFラインの背後へロビングのボールを送り込む。これに反応したDF小林祐三が抜け出し、ゴールキーパーの股の間を抜いて同点ゴールを決めた。

 横浜がワンチャンスをモノにして1−1。これで五分の勝負かとみられたが、川崎の攻めは威力が落ちない。22分、中央のMF中村憲剛からFW大久保嘉人、右サイドのラフィーニャときれいにパスがつながる。ラフィーニャがクロスをあげると、横浜の守備陣は対応しきれなかった。ゴール前でフリーの小林が右足を振り抜き、あっさり勝ち越し点を奪った。

「今までは僕が右サイドに張っていたが、エウシーニョが入って、僕が中に入って嘉さんの近くでプレーできている。やりやすい状況になっている」
 今季は15ゴール以上を目指す小林が昨季との違いを説明したように、大久保、レナトとの前3枚が自在に動き、相手を翻弄する。昨季より厚みを増した攻めでゲームの主導権を握った。

 そして、後半27分には真打ちの登場だ。中村が左サイドから内に切り込むと、「憲剛さんならあそこに蹴ると思っていた」と大久保が走りこむ。「中にいたので出すだけだった」という司令塔のクロスに、ヘッドで豪快にネットへ突き刺した。2年連続得点王のダメ押しゴール。川崎はこれ以上ない展開で、白星発進に成功した。

「最初の時間帯が良かった。その後も臨機応変に選手たちがやってくれた。今後に向けて収穫があった」
 風間八宏監督はタイトル獲得を狙うシーズンへの手応えを口にする。選手たちからも「自信がついた」との声が次々に聞こえた。

「1試合1試合、決勝のつもりでやる」と大久保は力を込める。2ステージ制になり、17試合ずつの短期決戦。さらに進化と深化を重ねた攻撃力で川崎がスタートダッシュを仕掛ける。