キリンチャレンジカップ2015が27日、大分スポーツ公園総合競技場で行われ、日本代表(FIFAランキング53位)はチュニジア代表(同23位)に2−0で勝利した。ヴァイッド・ハリルホジッチ監督の初采配となった一戦は、スタメンに代表初出場の藤春廣輝や川又堅碁を起用。だが、前半はチャンスを生かせず、スコアレスで折り返す。後半に入って本田圭佑、香川真司らを投入すると、攻撃が活性化。33分には岡崎慎司のヘッドで待望の先制点をあげる。さらに5分後、本田がダメ押しゴールをあげ、新指揮官の初陣で白星を収めた。

 岡崎、FW最多の代表90戦目を飾る(大分)
日本代表 2−0 チュニジア代表
【得点】
[日本] 岡崎慎司(78分)、本田圭佑(83分)
「スター選手に代わる選手を期待している」
 代表発表会見で競争を促した新監督に、これまで代表を牽引してきたスターたちが存在感を示した。

 注目のスタメン。ハリルホジッチ監督は、これまでの主力を大胆に外した。システムは4−2−3−1を採用。GKは権田修一が務め、4バックには藤春や、久々に代表復帰を果たした槙野智章らが入る。中盤は長谷部誠と山口蛍のダブルボランチ。トップ下には清武弘嗣、右ウイングに永井謙佑、左には武藤嘉紀を配置した。そしてワントップに川又を抜擢し、本田や香川はベンチスタートとなった。

 前半、攻勢をみせたのは新生サムライブルーだ。
 22分、左コーナーキックのチャンスを得ると、清武のキックに川又が打点高く頭を合わせる。ボールはゴールに一直線で向うも、バーに嫌われた。

 続く25分には右サイドから清武のFK。ゴール前に放り込んだボールがこぼれたところへ、藤春が右足を振り抜いたが、ゴールマウスをとらえきれなかった。

 43分には武藤が抜け出した。永井からのパスを受け、右サイドからPA内に侵入。シュートを放つも、相手GKにはね返されて、チャンスを生かせない。新しいメンバーで連係がかみ合わないシーンも目立ち、前半はスコアレスで折り返す。

 迎えた後半、ハリルホジッチ監督は6人の交代枠を利用し、次々とカードを切る。15分には本田と香川を同時投入。早速、香川は前線の川又にスルーパスを送り、好機を演出するなど攻撃のスイッチを入れた。

 21分には右CKを得て、蹴るのは本田。低い弾道にゴール前でフリーの吉田麻也がダイブする。ボールはゴールネットを揺らしたが、日本にファウルがあったとの判定で得点は認められなかった。

 直後には中盤で山口がワンタッチで左サイドの藤春へ。藤春もダイレクトでゴール前中央の川又へはたく。これは川又がとらえきれず、シュートは左に流れたものの、「ワンタッチ、ツータッチを多く使っていきたい」と語っていた指揮官の意向を踏まえ、攻めのスピードが上がっていく。

 そして、27分には岡崎と、代表初出場の宇佐美貴史がピッチへ。中央の香川から左サイドの本田を経由し、クロスを岡崎が合わせるスタイルでチュニジアゴールを脅かす。

 先制弾は、このトライアングルから生まれた。33分、香川がパスで、左サイド奥深くに本田を走らせる。折り返したボールは相手GKの頭上を越え、ファーサイドにいた岡崎へ。ヘッドで叩きこみ、鮮やかなゴールが決まった。これには新監督も思わず、両手をあげてガッツポーズ。満面の笑みを浮かべた。 

 さらに38分、今度は岡崎から左に走り込んだ香川にボールが渡る。香川のクロスは相手GKに当たり、こぼれた。これをスライディングしながら押し込んだのが本田だ。再び3人の連係で試合を決める1点が入る。

 終了間際にも香川のスルーパスに宇佐美が反応。GKと1対1の決定的な場面をつくる。宇佐美はゴール右隅を狙ってシュートを放つも、ポストに当たる。代表初ゴールとならず、22歳は苦笑いを浮かべたが、尻上がりにジャパンブルーのユニホームが躍動し、試合終了のホイッスルを聞いた。

 前半こそ決定機を生かせなかった日本だが、後半は代表で幾度となく戦ってきた欧州組が入り、チームが活気づいた。次は31日のウズベキスタン代表戦。「1試合目と2試合目ではメンバーが変わる」とハリルホジッチ新監督は明かしているだけに、どんな陣容で臨むかが見どころだ。