東京五輪の男子サッカーは開催国(都市)日本を含め、計16カ国・地域のU-23代表が出場し、メダルを争う。

 

 

 アジア枠は3つ。タイで東京五輪予選を兼ねたAFC U-23アジア選手権が行われた。東京五輪出場国は韓国、サウジアラビア、オーストラリアの3カ国となった。

 

 残念ながら、日本は予選リーグ敗退に終わった。いくら既に出場を決めている日本と、これから出場枠を争う他国とではモチベーションに差があるとはいえ、1引き分け2敗、勝ち点1の敗退は、本番に向け不安を残すものだった。

 

 森保一監督は、「責任はこの先チームをさらに成長させ、五輪で結果を残すことで果たしたい」と述べ、前を向いたが、表情は硬かった。

 

 ともあれ、「私も含めて反省が必要」(森保)と語った3試合を振り返ろう。

 

 初戦はサウジアラビア。1対1の均衡が破れたのは、後半43分。DF古賀太陽の不用意なバックパスがピンチを招いた。フォローに入ったDF岡崎慎がファウルを犯し、PKを献上した。勝ち点1を確実に取るのか、あくまでも勝ち点3を狙うのか。意思統一に疑問が残った。

 

 2戦目はシリア。前半9分のPKによる失点は、少々厳しいような気がした。しかし、31分に同点に追いつくと、試合はほとんどハーフコートマッチのような様相を呈した。だが、このように前がかりになった時ほど危ない。終了間際、シリアの乾坤一擲のカウンターに対応できず、最終節を残し、予選リーグ敗退が決定した。

 

「戦えていない。懸けているものが(他国とは)全然違った」。MF相馬勇紀のコメントが印象に残った。

 

 最後のカタール戦でも勝負弱さが露呈した。1対0の後半31分、ボランチの齊藤未月がシュートをブロックしようとしてファウルをとられ、PKを決められた。

 不甲斐ない結果を受け、指揮官の能力を問う声が上がり始めた。私見を述べれば、五輪まで200日を切った今、バタバタすべきではない。

 

 田嶋幸三日本サッカー協会会長は、森保の五輪とA代表兼任についてこう語っていた。

「世代交代を実現するためには兼任監督の方がスムーズにいく。今まで私も五輪、そしてA代表を見てきた。選手の取り合いになることもあった。1人の監督が兼ねる良さを私は見てきたつもりだ」

 

 とはいえ、タイでの結果を看過するわけにはいけない。協会は技術委員会のテコ入れに乗り出した。スカウティングに定評のある小野剛を「関塚隆委員長の補佐役」(田嶋)に付けたのだ。小野は田島の筑波大の後輩にあたる。

 

 小野は大舞台の経験も豊富だ。岡田武史監督に重用され、98年フランス、10年南アフリカと2度のW杯に日本代表コーチ、技術委員長として“参戦“している。ブラジルを撃破した96年アトランタ五輪でも分析担当としてチームを支えた。森保ジャパンに敏腕の参謀が加わる。

 

<この原稿は『サンデー毎日』2020年2月9日号に掲載されたものを一部再構成しました>

 


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