J1第1節2日目、川崎フロンターレ対サガン鳥栖の一戦が22日、等々力陸上競技場で行われた。試合はスコアレスドローに終わった。後半4分、川崎FのFWレアンドロ・ダミアンが押し込みゴールネットを揺らしたもののビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)の判定でゴールは取り消された。

 

 後半投入の川崎F・三笘が観客沸かせる(等々力)

川崎フロンターレ 0-0 サガン鳥栖

 

 後半20分からピッチに立った川崎FのMF三笘薫は、美しいボールタッチで観客のため息を誘った。22歳はこの試合がJ1デビュー戦とは思えないほど堂々とプレーした。

 

 交代から1分後、左サイドハーフウェイライン付近からドリブルで相手陣地深くまで強引にボールを運び、早速観客の心を掴む。「推進力があるから一気にボールをゴール前まで運んでくれる」と鬼木達監督の期待通り、相手が嫌がる位置までドリブルで侵入した。

 

 23分、三笘はペナルティーエリア左サイドでボールを持つと逆サイドのFW旗手怜央に展開。旗手が仕掛けるもののボールはゴールラインを割ってしまった。若手2人の積極的なプレーにファンは拍手で応えた。

 

 34分には上半身のしなやかな揺さぶりと細かなボールタッチで相手を振り切り右足でシュートを放つが惜しくも得点には至らず。37分には浮き球でゴール前にいる旗手にパスを通す。惜しくもシュートには結びつかなかったが想像性あふれるプレーで可能性を感じさせた。

 

 三笘は試合をこう振り返った。

「チームとしていいチャンスは作れたけどシュートに持っていける形が少なかったので、僕自身もっと改善していきたい。オープンな展開になると思ったので、自分が起点になること、サイドに張って仕掛けることを意識しました」

 

 この試合、日本代表兼U-23代表の森保一監督も視察に訪れていた。それについては「得点につながるプレーが最高の評価だと思う。まだまだかなと思うが、自分もいるんだぞというアピールにはなった。試合を観に来た時だけでなく、来ていない時も数字を残していければいい」と力強く語った。

 

 テクニックを武器とする若者が、J1デビュー戦で自らの可能性を示した。

 

(文/大木雄貴)