13日、日本水泳競技連盟は都内のナショナルトレーニングセンターで世界選手権・競泳競技(8月、ロシア・カザン)の日本代表を発表した。日本選手権4冠を果たした萩野公介(東洋大)、渡部香生子(JSS立石)ら25名が選ばれた。世界選手権では男女各20種目に加え、今大会から混合2種目(400メートルフリーリレー、400メートルメドレーリレー)が追加された。リレー種目で12位以内に入れば、リオデジャネイロ五輪の出場枠を獲得。また個人種目での金メダル獲得者は同五輪代表に内定する。
(写真:萩野<後列右から2番目>渡部<前列左>ら競泳日本代表のメンバー)
 日本水連の鈴木大地会長は「若手のみならず、ベテランが踏ん張り、中堅も活躍した。それぞれの年代が奮闘し、見応えがあった」と日本選手権を総括した。その6日間の激闘を終え、ロシアへと旅立つ25名の精鋭が決まった。4冠を果たした萩野、渡部に加え、男子背泳ぎのエース・入江陵介(イトマン東進)、男子平泳ぎの新鋭・小関也朱篤(ミキハウス)らが選出された。

 個人種目で日本水連が定めた派遣標準記録を突破し、日本選手権上位2名に与えられる代表権を掴んだ者たちは13名だった。上野広治競泳委員長は「残念ながら、このような人数」と物足りなかった様子。日本代表の平井伯昌監督も「危機感はものすごくあります」とのコメントを残し、男子400メートルフリーリレーでは派遣標準記録(100メートル自由形決勝上位4名の合計タイムが3分16秒34以内)をクリアできなかったことを嘆いた。萩野、渡部など複数種目で代表権を獲得した者が多かったこともあり、合計人数は前回のバルセロナ大会から比べると6人減った。

 個人種目4種目(男子200メートル&400メートル自由形、200メートル&400メートル個人メドレー)で代表になった萩野と、3種目(女子100メートル&200メートル平泳ぎ、200メートル個人メドレー)の渡部は世界選手権へ向けて、萩野は個人メドレー、渡部は平泳ぎと、それぞれの得意種目での金メダル獲得を誓った。自身初の世界一&リオ五輪の内定のW獲りを狙う。

 男子平泳ぎでは、小関が100メートルと200メートルで2冠を達成した。水泳界では遅咲きの部類に入る23歳は世界選手権初の代表入り。小関は「代表に入れたことは素直にうれしい。ですが世界選手権で結果を出すことが目標なので、これからしっかり準備していきたいと思います」と気を引き締め、「100メートルと200メートルでメダルを獲るということが一番の目標。200メートルに関しては世界新記録を目指して頑張りたいと思います」と抱負を述べた。

 平泳ぎは、日本のお家芸とも言える種目。ゆえに期待も大きいが、小関は重圧に感じていない。「タイムを出して世界と戦うのは、プレッシャーとはあまり感じていない。楽しみの方が強い。“どれだけのタイムで、どのぐらいの順位でいけるんだろう”という好奇心ですね」。昨年のパンパシフィック選手権では2冠を達成した大型スイマーが、世界選手権3連覇中のダニエル・ギュルタ(ハンガリー)ら強豪を相手にどこまで実力を示せるか。

 カザンでの戦いはリオデジャネイロの試金石になる。平井監督によれば「オリンピック前年と翌年の緊張感は天と地ほどの差がある」という。決戦まで、あと3カ月以上。トビウオジャパンの選手たちに求められるのは、速さではなく強さである。トビウオの旬は夏。その日までに脂の乗った状態に持って行きたい。

【競泳日本代表】

・男子
萩野公介(東洋大)
入江陵介(イトマン)
金子雅紀(YURAS)
小関也朱篤(ミキハウス)
立石諒(ミキハウス)
藤井拓郎(コナミ)
川元武史(中京大)
瀬戸大也(JSS毛呂山)
坂井聖人(早稲田大)
※中村克(早稲田大)
※塩浦慎理(イトマン東進)
※小堀勇氣(東京SC)
※天井翼(東洋大)

・女子
渡部香生子(JSS立石)
金藤理絵(Jaked)
星奈津美(ミズノ)
清水咲子(ミキハウス)
※内田美希(東洋大)
※松本弥生(ミキハウス)
※池江璃花子(ルネサンス亀戸)
※山口美咲(イトマン)
※五十嵐千尋(日本体育大)
※持田早智(ルネサンス幕張)
※青木智美(ATSC.YW)
※赤瀬紗也香(日本体育大)

※はリレーのみの選出

(文・写真/杉浦泰介)