皆さんこんにちは。いつも白球徒然HAKUJUベースボールスペースのコラムをご覧いただきありがとうございます。


 現在、中国・武漢から出ました新型コロナウイルスの感染拡大が日本全体に多大なる影響を及ぼしています。小中高の臨時休校、大規模イベントも中止や延期を余儀なくされ、感染を少しでも防ごうと国全体をあげて取り組んでいます。

 

 スポーツ界もサッカーやバスケットボール、ゴルフなどは開催延期。プロ野球はオープン戦を無観客試合で実施されています。ファンのいない球場でプレーをしていても選手たちは物足りなさや寂しさが感じるだろうなと思ってしまいます。

 

 仕事で関わっている大学野球部にも影響が出ています。この3月は各地でキャンプやオープン戦を実施する大学が多いのですがそれの多くが中止になり、野球部の活動を自粛する大学も出てきています。

 

 次々と問題が沸き起こってくる事態に、ふと去年の台風での水害や、2011年の東日本大震災、1995年の阪神淡路大震災などを思い出しました。こうした困難に直面したとき人間はどのように対処すれば良いのか? 普段はあまり使わない頭を精一杯フル回転させて考えてみました。

 

 こうした状況で一番気をつけなければいけないのが情報の錯綜とデマによるパニックです。今回もインターネットの書き込みなどをきっかけにトイレットペーパーの買い占め騒ぎが起こり、日本家庭紙工業会が「トイレットペーパー、ティッシュペーパーについて製品在庫も十分にありますので、需要を満たす十分な供給量・在庫を確保しております」との発表を行いました。それでもまだ過剰に買い込む人がいて、そうした人が減らず店頭では品薄状態が続く。このような負のスパイラルを起こしているのは、紛れもなく"自分たち"だということを十二分に理解してほしいと思っています。過剰に購入すれば本当に必要としている人に行き渡りません。皆さんが正しい情報の下で行動し、他人への優しさを見せることで品薄状態はすぐに解消されるはずです。それが支え合って生きることにもつながると思います。

 

 今回も過去の災害時と同じように本当に必要としている人が物資を手に入れられないという問題が起きました。こうした騒ぎが起こるたびに悲しみや憤り、残念さを感じ、ときには無力感にも襲われます。

 

 こうしたことを起こさないようにするために正しい情報を仕入れることと、あとは普段から災害に対する備えも重要です。必要最低限の物を家庭内備蓄として蓄えることなどで、今回のようなデマによる買い占め騒動は防げるはずです。パニックは自分だけが助かろうと思うことで発生すると私は考えています。家族や親しい人たちが大切なのはもちろんですが、それに加えてみんなで守ろう、そしてお互いに助けようとする思いが多くの人たちを守り、地域を守り、そして日本を守ることになるのではないか。そうした心を持つことが大事だと私は考えます。

 

 プロ野球の開幕やセンバツ甲子園の開催もどういった形になるのか不透明です。こういった局面だからこそ、人間の底力が問われていると思います。必ずや国難と呼ばれる問題に打ち勝ち、この経験が将来の教訓となりより安心で安全な社会や生活につながることを心から願っています。私個人としても今できること、そして今やらなければならないことをよく考え、行動に移していきたいと思います。

 

<小野仁(おの・ひとし)プロフィール>
1976年8月23日、秋田県生まれ。秋田経法大付属(現・明桜)時代から快速左腕として鳴らし、2年生の春と夏は連続して甲子園に出場。94年、高校生ながら野球日本代表に選ばれ日本・キューバ対抗戦に出場すると主軸のパチェーコ、リナレスから連続三振を奪う好投で注目を浴びた。卒業後はドラフト凍結選手として日本石油(現JX-ENEOS)へ進み、アトランタ五輪に出場。97年、ドラフト2位(逆指名)で巨人に入団。ルーキーイヤーに1勝をあげたが、以後、制球難から伸び悩み02年、近鉄へトレード。03年限りで戦力外通告を受けた。プロ通算3勝8敗。引退後は様々な職業を転々とし、17年、白寿生科学研究所に入社。自らの経験を活かし元アスリートのセカンドキャリアサポートや学生の就職活動支援を行っている。


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