新型コロナウイルス感染拡大の影響により、第53回日本女子ソフトボールリーグは前半戦が中止となった。これにより今季のリーグ戦は、後半戦のみの実施で決勝トーナメント進出チームを決める。異例のシーズンを迎えることとなった伊予銀行VERTZは、『Vamos! VERTZ!』(行くぞ! VERTZ!)をスローガンに今季へと臨む。

 

 

 

 

 3月11日に日本リーグ第1、2節の中止が発表された。それから2週間後には前半戦全試合の中止が決まった。チーム、選手としてもモチベーションの維持などが難しいところだ。就任6年目を迎えた秋元理紗監督は延期を受け、こう語った。

「選手は試合をしたかったと思いますが、世の中がこういう状況ですから仕方がありません。選手たちには『まずはできるだけプラスにとらえよう』と話をしています。『リーグが始まった時には、いつも以上に感動や勇気を与えられるよう頑張ろう。スポーツでしかできないことをやろう』とも言いました」

 

 今季の伊予銀行は7人のニューフェイスが加わった。居内佑加、黒木美紀、安川裕美、吉金亜希子、近藤玲衣、佐々木彩葉の6人の新人と、本間紀帆の移籍組だ。新人は全日本女子大学選抜に選ばれた経験を持つピッチャー・黒木、インカレ2連覇の日本体育大出身捕手・安川、U-18日本代表野手の吉金亜希子ら即戦力揃いだ。指揮官も「みんな即戦力として使えそう。前半戦試合がない分、夏を含め、しっかり鍛えれば後半戦で戦力になってくれるはずです」と期待を寄せる。

 

 中でも高卒ルーキーの吉金は地元・愛媛の済美高出身だ。実は彼女、伊予銀行に縁の深い選手だった。秋元監督はこう振り返る。

「吉金は小学校の頃から伊予銀行が参加していた地域の教室に来ていたんです。その時から『伊予銀行を目指す』と言ってくれていました。それで高校生になり、進路を決める時期に『地元だし、ぜひ伊予銀行でやらないか?』と声を掛けたところ、本人も『ぜひお願いします』と」

 

 昨季の伊予銀行は総失点を77と前年より10減らしたものの、総得点が前年の43とほぼ変わらない42だった。課題は攻撃面にあるのは明らか。そこで期待したいのが戸田中央総合病院から移籍してきた本間だ。17年には3割をマークした長打力が魅力のスラッガーである。チームには昨季3本塁打の樋口菜美がいるが、総ホームランはわずか7本。長打力のあるバッターは多くない。本間にはポイントゲッターとしての役割に期待したいところだ。

 

 伊予銀行は過去にも金澤美優、山口清楓らといった移籍を機にチームの主力へと成長していった選手がいる。「ウチのチームは前にいたチームでなかなか力を発揮できなかった選手が、活躍できるようになったケースがあります。“野村再生工場”のようなチームでもある。本間に限らず、気持ちのある選手がいたら採用してあげたいと思っています」(秋元監督)

 

 キャプテンは昨季に続き、二宮はなが務める。「去年初めてキャプテンを経験して大変だったと思う。1年1年良くなってくるものだと思うので、今年も任せましたし、本人も承諾してくれました」と秋元監督。今季はキャプテンを決める際、選手たちにも意見も反映させたという。

「二宮のキャプテンを支持したのは選手たち。だから二宮が困った時にサポートし、彼女がチームを引っ張る時にはついていってほしい。そして二宮にも“みんながキャプテンとして必要としている”ということで自信と自覚を持つために、こういう方式を取りました」

 

 選手は大きく入れ替わったが、チームの一体感、雰囲気の良さは変わらずあるという。

「元気な選手が多く入ってきたので、新人のユーモアや個性を発揮できるようなチームの雰囲気を既存の選手たちにはつくってほしい」

 現状、ポジションが約束された選手はいない。秋元監督は「いい競争ができていると思います」と胸を張る。

 

 今季はリーグ戦上位5位までが決勝トーナメントに進める。秋元監督は「目標は高く、5位に食い込んでいきたい」と意気込む。昨季は11位で入れ替え戦に回った。1勝1敗のタイで第3戦までもつれ、1点ビハインドで7回表2死という崖っぷちからの逆転劇を演じた。「昨季の入れ替え戦もそうですが、ウチは誰もが予測しないようなことができるチーム。他のチームにはない、面白い試合やエンターテイメント性も追求していきたいです」。世の中が苦境に立たされている中、リーグでの伊予銀行の戦いぶりが多くの人を勇気づけるはずだ。

 

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