SNSなどでは、この件を巡ってゴルフに対する批判がかまびすしい。だが、ゴルフそのものに罪はない。坊主憎けりゃ袈裟まで憎い、といった風潮には与しかねる。

 

 沖縄県のゴルフ場で体調を崩し、新型コロナウイルス感染が判明した俳優・石田純一。感染源は北関東のゴルフ場だった疑いが濃いことを21日付けの本紙が報じていた。<後に食事会の参加者から複数の感染者が出たことが判明。女性2人が先に感染が分かったことから、時期的に感染経路になった可能性があるとみられている。>

 

 SNSには、こんな書き込みが。<こんな時期に自粛せずにゴルフとは><ゴルフ三昧の末にコロナ感染><ゴルフとは軽率だ>…。

 

 石田の行動は感心しない。緊急事態宣言が7都府県に発令されたのが今月7日。ゴルフ場は休業要請の対象リストから外れていたとはいえ、時と場合を考慮すべきではなかったか。食事会は余計だ。何度か仕事でご一緒したが、分け隔てのない人だけに残念である。

 

 ともあれ、いちばん後悔しているのは本人だろう。クレバーな人だけに早く元気になって、考えられる感染経路や入院生活における心得について報告して欲しい。国内での感染拡大抑止に貢献するためにも。

 

 ゴルフが悪者になった事例として石田のケースとは異なるが、最近では昨年5月、松坂大輔(当時は中日)が練習日にゴルフをしていたとして規律違反を理由にペナルティーを科せられた一件を思い出す。球団はゴルフを禁止していなかったにも関わらず、松坂は「自覚が足りなかった」と謝罪した。

 

 これを受けダルビッシュ有は<膝とか腰のケガならわかるけど、肩だからゴルフくらいいいんじゃない?リフレッシュにもなるし>とツイートしたが、弁護側は少数だった。もし釣りやジョギングだったら、ここまで叩かれることはなかっただろう。

 

 ゴルフは未だに“金持ちの道楽”のイメージが強いのか、感情バイアスの標的になりやすい。石田に対するSNSの批判には<ゴルフ依存症>というものもあった。アルコールしかりギャンブルしかり、依存症がいい意味で使われることは皆無である。ゴルフ界は偏見を解くためにも反証を試みるべきである。繰り返すが、ゴルフに罪はない。

 

<この原稿は20年4月22日付『スポーツニッポン』に掲載されたものです>


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