Jリーグがようやく動き出しそうだ。

 

 5月29日に臨時実行委員会が開かれ、J2再開、J3開幕が6月27日に、J1再開が7月4日となることが決まった。無観客開催からスタートさせ、状況を見ながら観客を段階的に入れていく方針のようだ。

 

 全選手にPCR検査を実施することも決定した。2週間に1度のペースで行ない、レフェリーやスタッフなど2340人が対象となるという。

 

 この「全選手PCR検査」は安全性を確保するために選手側からの要望が強かったと聞く。5月11日の新型コロナ対策連絡会議において、Jリーグの特任理事として出席した播戸竜二が選手側の声としてPCR検査の必要性を述べている。先に再開したドイツ・ブンデスリーガや韓国Kリーグでも実施されており、Jリーグも採用することとなった。

 

 播戸は今年2月、特任理事に就任したばかり。選手の声を集めていく情報収集力もさることながら、選手の目線に立ってJリーグをもっと良くしていきたい、とする強い意欲も垣間見える。

 

 もう1年以上前になるが、彼にじっくり話を聞く機会があった。

 

 播戸は小野伸二や稲本潤一、遠藤保仁らと同じ「黄金世代」。1998年にガンバ大阪でキャリアをスタートさせ、多くのJリーグクラブを渡り歩いてきたストライカーだ。コンサドーレ札幌、大宮アルディージャ時代はJ2、FC琉球時代はJ3を経験している。J一筋、どのカテゴリーでもプレーしてきた。

 

 インタビューをした当時はFC琉球を退団して所属先がなかったが、引退を考えているわけではなかった。ただ、近い将来の目標としてこう語っていた。

 

「僕らってカズさんを見てきて、キラキラしているなって憧れた世代。でも今の若い人ってJリーガーに憧れているのかって言ったら、そうでもないと思うんですよ。だからキラキラ感あるJリーグにしたいし、夢のあるJリーグにしたい。僕自身、Jリーグに育ててもらってきたから恩返ししたいっていう思いは凄くあります」

 

 イメージどおり、行動力に長けた人。

 

 現役時代、サッカーを学びたいと思えば欧州に飛んで試合を観戦するし、マネジメントに関心を抱けば会社を立ち上げる。カズがキラキラなら、播戸はギラギラか。第一線を退く形になれば、まずはスポーツビジネスを学びたいとも語っていた。

 

「同じ黄金世代の仲間たちとJリーグを盛り上げていきたいっていう気持ちは強いですね。それに播戸はピッチから離れても頑張っているなって、ファンの人に感じてもらえればうれしい」

 

 PCR検査の件のみならず、彼の行動力によって選手や現場の声をJリーグに届けてほしいと思う。

 

 たとえばこれから秋春制移行の議論が巻き起こってくるかもしれない。日本サッカー協会の田嶋幸三会長はアジアチャンピオンズリーグ(ACL)の秋春制移行をAFC(アジアサッカー連盟)に提案済みだとか。元々田嶋会長は「推進派」なのだが、新型コロナウイルス感染拡大の影響によってタイは秋春制移行を決めるなどアジア全体として秋春制にシフトしていく可能性がないとは言い切れないからだ。日本では降雪地域のインフラ整備や「年度」の問題もあって見送られているが、彼なりにリサーチしてどんな見解を持つのか興味深いところではある。

 

 Jリーグの未来のために、キラキラ感あるJリーグにするために。

 

 ギラギラの行動力に期待したい。


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