分かってはいたが、実際に眺めるとかなりきつそうだ。

 

 再開するJリーグの日程である。J1は7月4日から、J2、J3は6月27日から5カ月半かけて消化していく。通常10カ月の日程が半分近く凝縮されるわけだから、真夏の7、8月も連戦を強いられることになる。7月中は近隣エリアを中心に対戦カードが組まれているものの、8月に入ると長距離移動も“解禁”になる。J1で言えば大会方式が変更されたルヴァンカップのグループステージも入り、多くのクラブが23日間で7連戦を強いられる。

 

 長い中断期間が明けて再開したらいきなり連戦モード、それも真夏。1試合5人交代制など今シーズン限定のルールが採用されるとは言っても、選手にとって過酷な夏になることは間違いない。

 

 コンディション管理をどうやっていけばいいか。

 

 まずは個人でやっていかなければならないところがある。夏の過密日程によって、ベストの体重に戻っていかないことでコンディションに苦しんだというのはよくある話だ。

 

 以前、中村憲剛についてこんなエピソードが紹介されたことがある。

 

 NHKのスポーツエンターテインメント番組「グッと!スポーツ」において、Jリーグの試合後、カップラーメンにご飯を入れて食べていたという話を同僚の大久保嘉人(現在は東京ヴェルディ1969)が明かしていた。

 

 試合後に炭水化物を摂取するのは疲労回復のため。日本代表の監督を務めたアルベルト・ザッケローニもおにぎりを食べるように通達していた。ただ、ラーメンにご飯を入れて食べるというのは、なかなか聞いたことがない。

 

 中村にその理由を尋ねたことがある。

「夏場は試合が終わると僕の場合、体重がグンと減ってしまう。ご飯だけだと喉を通らないし、胃腸も疲れている。だから体重を戻すことを考えて、流し込む。夏場しかやらないし、もう何年前かの話ですけどね」

 

 彼は苦笑しながら、意図を説明してくれた。

 

 ムチャクチャな食べ方だと思われがちだが、理にはかなっている。疲労回復と、体重を戻す意味もあっての“爆食”であり、「喉を通すために」ラーメンのスープで流し込むわけだ。

 

 誰かにアドバイスを受けたわけではない。自分に合ったやり方を編み出しているところがミソ。それはすなわち常に自分の肉体と会話し、カラダのことを理解できているからこそ。シーズン通して高いパフォーマンスを発揮できる選手は、彼のように自分でコンディションを微調整できるところが大きい。

 

 食事、睡眠、ケア。

 この3つがとても大事になってくる。それぞれ自分に合った取り組みをやっていく必要がある。

 

 ただ一方で、クラブ側には徹底したコンディション管理が求められる。疲労度のチェックやコンディショニングシートをつくるなどして、個々のコンディションをしっかり把握しておくべきだ。無理をさせてしまうとケガのリスクも高まる。5人交代制を有効に使い、メンバーをうまく回しながら休養を与えていくことも考えていく必要があるのではないだろうか。

 

 メンバーを固定して過密日程の続く今季のJリーグを乗り切るのは非常に難しいと思われる。若手を含めたチームの総力で戦っていかなければならない。

 

 個人としてもチームとしてもまずは夏の連戦をどう乗り切っていくことができるかどうか。

 

 グッドコンディションを持続していくことがこれまで以上に、結果に反映するシーズンとなる予感はする。


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