キリンチャレンジカップ2015が11日、神奈川・日産スタジアムで行われ、日本代表(FIFAランキング52位)はイラク代表(同86位)に4−0で勝利した。日本は前半5分にFW本田圭佑のゴールで先制すると、9分にはセットプレーからDF槙野智章が追加点。さらにFW岡崎慎司の得点で3−0とリードを広げて前半を折り返す。メンバーを入れ替えた後半も、途中出場のFW原口元気がダメ押し点をあげ、16日からスタートするロシアW杯アジア2次予選へ弾みのつく1勝となった。

 岡崎、代表3試合連続ゴール(横浜)
日本代表 4−0 イラク代表
【得点】
[日本] 本田圭佑(5分)、槙野智章(9分)、岡崎慎司(32分)、原口元気(84分)
 キックオフ直後から、63,877人を集めたスタジアムは、ゴールラッシュに沸いた。主力が何人か不在だったとはいえ、アジア杯でベスト4に入ったイラクに完勝を収めた。
「いい試合をした。スペクタクルな試合をしてくれた」
 試合後のヴァヒド・ハリルホジッチ監督も「選手たちにはブラボーと言いたい」と満足そうな表情をみせた。

 立ち上がりから躍動したのは本田だ。開始早々、本田がFW岡崎慎二とのパス交換で左から中央に侵入し、左足で強烈なシュート。さらに5分、MF柴崎岳の縦パスにいち早く抜け出す。
「監督から縦への意識は選手全員に意識付けしている。チャンスがあればと思っていた」
 有言実行の背番号4が相手DFをかわしながら、左足でゴール右に流し込んだ。

 先取点をあげた日本の攻勢は止まらない。7分には、代表初先発のFW宇佐美貴史が左サイドからドリブルで切りこんでシュートを放つ。さらに9分、右コーナーキックのチャンス。香川のキックはニアでの競り合いをすり抜け、ファーサイドへ。詰めていた槙野が左足で押しこみ、2−0とリードを広げる。

「冒頭の15分は失点なしでやりたかった。2点獲られて自信を失った」
 イラクのアクラム・セルマン監督は試合後、肩を落としていたが、試合は完全に日本ペースとなる。15分には、柴崎、本田とつないで、岡崎が右足を一閃。惜しくもシュートは相手GKにはじかれ、バーに当たる。

「ワンタッチパスや3人目、4人目の絡みなどオフェンス面での組み立てをよくやってくれた」と指揮官が評価したように、日本は素早い攻撃でイラクの守備陣に落ち着く時間を与えない。再び、場内が歓声に包まれたのは33分だ。宇佐美がドリブルで相手DFを引き連れ、中央突破。左サイドから走りこんできた岡崎にパスを送ると、行く手を遮る者は誰もいなかった。ワンタッチで左足を振り抜くとゴールネットが揺れた。

 3−0。これでハリルホジッチ体制で3戦3発の岡崎は「今までは(周りが)トップスピードで入ってこないので、孤立してボールを取られていた。今はいい位置にフォローが来るので、挟まれずに自由にできる。代表が変わりつつある」と変化を口にする。日本はフランス人指揮官が就任以来こだわってきた前への推進力が45分間、落ちることなく試合を折り返す。

 後半に入っても、8分には香川が中央からのパスを左から持ち込み、シュート。12分には本田が浮き球のFKでゴール前に落とす。いずれも得点には至らなかったものの、イラクゴールを脅かした。

 守備では相手のシュートはわずか3本。90分を通じて危なかったのは、前半終了間際、FKがゴール左に飛んだ場面と、後半14分にDF吉田麻也のクリアミスで裏へ抜けた相手にボールが渡り、GK川島永嗣が飛び出したシーンくらい。ハリルホジッチ監督は後半に入ってFW武藤嘉紀や、約2年ぶりの代表復帰となった原口、代表初出場のMF谷口彰悟らを次々と投入し、新たなメンバーもテストする。

 その原口が後半39分、柴崎のフィードボールが相手DFに当たってこぼれたところをしっかり拾い、中央をドリブルで前進。DFをひとりかわして、右足で鮮やかな代表初得点を決め、この日のゴールラッシュを締めくくった。

 いよいよ5日後にはロシアW杯への戦いがスタートする。ハリルホジッチ監督は快勝にも「空白の時間があった」と課題を指摘することを忘れなかった。
「後半も理想のリズムではなかった。最初の20分を次の20分も続けてほしい」
 指揮官の要求を選手たちも理解している。岡崎は「これがずっと続くかどうかが大事」と語り、本田も「ゴールに絡む回数を増やしたい」と貪欲だ。

「このような道を続けていきたい。W杯予選のための素晴らしい準備ができた」
 ロシアへの道を明るく拓くべく、ハリルジャパンは前へ前へ邁進する。