2018FIFAワールドカップロシアのアジア2次予選(兼アジアカップ2019予選)は、16日に日本代表(FIFAランキング52位)がシンガポール代表(同154位)との初戦を迎える。グループEの日本はシンガポールの他、シリア(121位)、アフガニスタン(151位)、カンボジア(178位)と同組で来年3月までホーム&アウェーの総当たり方式で計8試合を戦う。W杯への真剣勝負を目前にして会見に臨んだヴァイッド・ハリルホジッチ監督は、「(11日に4−0で快勝した)イラク戦と同じように戦う意識と野心を持ってほしい。私は選手を信頼している。メッセージを完璧に理解していると思っている」とチームづくりに自信をのぞかせた。
(写真:イラク戦で得点を決めた岡崎(右)と原口もリラックスした表情で前日練習をこなした)
「勝利は決まっていない。試合が始まるまでは厳しさを持ってやっていく」
 3月の就任以来、厳格な指揮官は、代表メンバーに高いレベルを求めてきた。試合前日とあって、練習は軽めながら、選手たちには速いパス回しと動きを徹底。FW宇佐美貴史やMF柴崎岳を呼んで、個人的に指導する場面もあった。

 就任からの試合は3連勝。縦への意識を植えつけ、攻撃がスピーディーになってきた。攻守の切り替えやセットプレーの対応に加え、「キックオフのボールを持っている時、ボールを持っていない時の動きを指導してきた」と指揮官が明かすように、その内容は細かい。「プレーが変わってきている。選手たちはよく話を聞いてよくやってくれている」とチームの変化にハリルホジッチ監督は一定の評価を下す。

 その真価が問われるのが、W杯予選だ。
「フィジカル、メンタル、100%の準備が必要。そうしないと我々の試合は我々のものにならない。100%でない人がいたら10分で代える」
 シンガポール戦のスタメンは練習を見る限り、イラク戦と同じ顔触れになりそう。だが、ハリルホジッチ監督は「決まったメンバーはいない」と全員での競争を強調する。
(写真:トップ下で起用されそうな香川(中央)は試合に向けて「高い位置を意識した」と話した)

 初戦で対戦するシンガポールとは、1979年以降は11勝1分0敗と負けがない。ハリルホジッチ監督は「勝たなければ驚きを与えてしまうゲーム」としながら、「罠が仕掛けられている」と気を引き締める。シンガポールはカンボジアとの初戦を4−0で勝利して日本に乗りこんできたからだ。

「ポゼッションは我々が上回り、攻撃するだろうが、守備は注意深くしなくてはいけない。カウンターで得点されるチャンスがある」
 指揮官の意図を選手もよく理解している。右サイドバックで先発が濃厚な長友佑都は「固い守備なら負けることはない。前から行ってブロックをつくる戦術をやってきた」と、まずはスキをみせない構えだ。

 グループリーグで惨敗したブラジルW杯から1年。守護神の川島永嗣は「また新たなチャレンジが始まる。新たな自分たちを積み重ねていきたい」と決意を口にした。新指揮官の就任後、進化をみせつつあるサムライブルーがロシアW杯への第一歩を踏み出す。
(写真:本田も最後までシュート練習をしていた)

【アジア2次予選、日本の対戦日程】

2015年
6月16日 シンガポール(埼玉スタジアム)
9月3日 カンボジア(埼玉スタジアム)
9月8日 アフガニスタン(イラン)
10月8日 シリア(オマーン)
11月12日 シンガポール(シンガポール)
11月17日 カンボジア(カンボジア)

2016年
3月24日 アフガニスタン(埼玉スタジアム)
3月29日 シリア(埼玉スタジアム)

※1位と、2位の成績上位4チームが来年9月からの最終予選に進出。