12日、2020年東京五輪・パラリンピック組織委員会は都内で第7回理事会を開き、2014年度の事業報告及び、決算の承認などを行った。また開催都市が国際オリンピック委員会(IOC)に提案できる追加種目について、応募資格を持つ33団体の国際競技連盟(IF)から野球・ソフトボール、スカッシュ、空手などの26団体が追加種目への応募があったと発表した。追加種目の選定スケジュールは、今月22日に追加種目検討会議により、ヒアリングに進むIFを絞り込む。9月末までにIOCに提案する種目を決める。
 4日前に締め切られたIFによる追加種目への応募。北京五輪以来、3大会ぶりの復活を狙う野球・ソフトボールや、初の五輪種目入りを目指す空手やスカッシュ、国技の相撲、100年ぶりの復帰を目指す綱引きなど26団体が、2020年五輪への参加に手を挙げた。資格があったIFは33団体。約8割の団体が応募する関心の高さを窺わせた。

 今後はこれらの種目に対し、組織委は有識者による種目検討会議を22日に行う。IOCの理事会で決まった人気や組織体制など35項目に及ぶ選定基準を下に、次の選考へと進めるIFを絞り込む。選ばれたIFと8月上旬にヒアリングを行い、9月末までにIOCに提案するIFを決定する。

 組織委の森喜朗会長は「正直、何の競技かわからないものもあった」と本音をのぞかせたものの、「スポーツも新しく大きく変化している時代にきているのかな」と語り、26団体からの応募を歓迎した。

 一方、競技会場の見直しについて、10競技中8競技の会場変更がIOC理事会で承認された。武藤敏郎事務総長によれば、これにより700億円の削減が見込まれ、2月の理事会で承認されたものと合わせれば1070億円ものコストカットに成功することになるという。五輪アジェンダ2020に沿ったものを提示するもので、8日に行われた理事会の際にはIOC側から拍手を受け、高い評価を得たようだ。

 問題となっている新国立競技場の建設は、森会長が下村博文文部科学大臣から「デザインを根本的に変えたら、かえって(完成が)遅れる。できるだけ、節約しながら基本原則は2019年の3月迄。ラグビーワールドカップには、間違いなくできるようにしたい」と報告を受けたと明かし、「『しっかり頼みますよ』と申し上げた」と激励した。

 森会長は、建設費用の一部負担を巡り国と対立していると見られる舛添要一都知事にも言及。「大事なことは、招致は東京都でやったこと。推進し、誘致運動をした。知事は変わったかもしれないが、都が中心であることには変わりはないこと。それを承知の上で選挙に出て、当選された舛添さんは、オリンピックをどうしたいのか」と釘を刺した。

<応募競技団体名>
国際航空連盟、国際アメリカンフットボール連盟、世界野球ソフトボール連合、世界ビリヤードスポーツ連合、世界ブールスポーツ連盟、世界ボウリング連盟、世界ブリッジ連盟、国際チェス連盟、世界ダンススポーツ連盟、国際フロアボール連盟、世界フライングディスク連盟、世界空手連盟、国際コーフボール連盟、国際ネットボール連盟、国際オリエンテーリング連盟、国際ポロ連盟、国際ラケットボール連盟、国際ローラースポーツ連盟、国際スポーツクライミング連盟、世界スカッシュ連盟、国際相撲連盟、国際サーフィン連盟、国際綱引連盟、世界水中スポーツ連盟、国際水上スキー&ウェイクボード連盟、国際武術連盟

(文・写真/杉浦泰介)