FIFA女子ワールドカップカナダ大会は日本時間13日、グループCのなでしこジャパン(日本女子代表、FIFAランキング4位)が、カメルーン代表(同53位)と対戦した。なでしこは、前半6分、左サイドハーフで起用したDF鮫島彩のゴールで先制。17分にはCKからFW菅澤優衣香がヘディングシュートを決めて追加点をあげる。後半は相手のパワープレーに押しこまれ、終了間際にFWアジャラ・ヌシュットに1点を返されたが、しのぎ切った。連勝となったなでしこはグループ2位以上が確定し、決勝トーナメント進出が決まった。

 スタメン起用選手が2得点絡む(バンクーバー)
日本女子代表 2−1 カメルーン女子代表
【得点】
[日本] 鮫島彩(6分)、菅澤優衣香(17分)
[カメルーン] アジャラ・ヌシュット(90分)
「いつもスミマセン。ハラハラドキドキばかりさせて……」
 開口一番、佐々木則夫監督も苦笑いの勝利だった。

 佐々木監督は4日前のスイス戦からスタメンを入れ替えた。MF澤穂希を外し、MF宮間あやをボランチに。右サイドにはMF川澄奈穂美、左サイドには鮫島を入れた。

 この起用が立ち上がりからズバリ的中する。6分、右サイドからパスでつないで、川澄がクロス。ボールはゴール前のFW大儀見優季と相手DFをスルーして、ガラ空きの左サイドへ流れる。ここに鮫島が走りこんでいた。
「右サイドうまく崩せて、触れば入るボールが来た」
 左足で押しこみ、なでしこは幸先よく先制する。

 さらに、その10分後、日本は左コーナーキックのチャンス。キッカーの宮間はショートコーナーで一旦、川澄に預けた後、改めて浮き球のクロスを入れ直す。精度の高いボールはファーサイドへ一直線。ジャンプした菅澤が頭で合わせ、再びゴールネットが揺れた。

「得点が流れの中で獲れたこと、得意のセットプレーで獲れたこと」
 試合後、アシストした宮間が良かった点を挙げたように、日本はいいかたちでリードを広げる。

 だが、フィジカルの強いカメルーンは、カウンターで日本ゴールを脅かす。直後の23分には、初戦でハットトリックを達成したFWガエル・エンガナムットが縦パスに抜け出す。右足シュートはGK海堀あゆみが体を張って跳ね返した。

 さらに41分、エンガナムットがなでしこのDFを引き連れ、ペナルティエリア内へ。ゴール前へのパスにFWマドレーヌ・ヌゴノマニが右足を出す。ボールはわずかに枠を外れ、救われる。なでしこは押され気味の展開も、2点差を保って試合を折り返した。

 後半に入って、なでしこは布陣を変更。宮間が左サイドに上がり、鮫島が左サイドバックに下げた。さらに途中から澤をボランチに入れて、試合を落ち着かせようと試みる。

 しかし、「途中から相手の良さを出させてしまった」と宮間が反省した通り、時間経過とともにカメルーンの怒涛の攻撃にさらされる。26分には、右サイドのFKからこぼれ球を拾われ、波状攻撃を受けた。シュートを3度浴び、なでしこは必死の防戦を余儀なくされる。

「シュートで終わるとか攻撃がはっきりできなかった」とDF熊谷紗希が指摘したように、なでしこはボールを持っても前線に回せず、途中で失うシーンが目立った。そのたびにカメルーンの緑の選手たちがなでしこ陣内になだれ込み、苦しい時間帯が続く。

 流れを変えられないまま、試合時間は残りわずか。ここでカメルーンに素早いカウンター攻撃を許す。中央にいたエンガナムットの縦パスに、ヌシュットが左サイドを突破された。DFラインの裏をとられ、ヌシュットのシュートはDF近賀ゆかりのスライディングも及ばず、ゴールに吸い込まれる。

 2−1。1点差でロスタイムは4分。試合は一気に緊迫の度合いを増した。勢いに乗るカメルーンは右サイドからのクロスに、エンガナムットが頭を合わせ、あわや同点の場面をつくる。さらにDFオーギュスティーヌ・エジャンゲがミドルシュート。いずれも枠を逸れ、なでしこが1点差で逃げ切った。

 何とか勝ち点3を手にしたなでしこは決勝トーナメント一番乗り。佐々木監督は「もう少し、後半の運び方を考えないといけない」と課題をあげた。キャプテンの宮間も「得点している時は多くの選手が動いている。悪いリズムの時にそれができていない」と表情は浮かなかった。

 グループリーグ最終戦(17日)で激突するエクアドルはカメルーンに6失点、スイスに10失点で連敗している。確実に勝って1位通過することはもちろん、後半に主導権を奪われた2試合を踏まえて、決勝トーナメントへ課題を修正する一戦にしたい。