(写真:浅原は最多43キャップを記録。トロフィーを片手にウルフポーズで喜びを表現した  ©JSRA photo by H.Nagaoka)

 今季限りでスーパーラグビー(SR)から除外となり、5シーズンの活動を終えたヒト・コミュニケーションズ サンウルブズが8日、東京・秩父宮ラグビー場でメモリアルセレモニーを開催した。イベントは歴代の所属選手、関係者らが出席し、ファンへの感謝などを送った。今季のMVPにLOマイケル・ストーバーグ(近鉄ライナーズ)、過去最多キャップのPR浅原拓真(日野レッドドルフィンズ)らが表彰された。

 

 SRはニュージーランド、オーストラリア地区に分かれ、リーグ戦を継続中だが、日本のサンウルブズはオーストラリア大会参戦を断念しており、“ラストシーズン”の幕を閉じた。

 

 5シーズンで9勝1分け58敗。数字だけ見れば、大きなインパクトを残せなかった。だが昨年のW杯日本大会で、初の8強入りを果たしたジャパンにとって、SRでの経験は非常に大きいものだった。初代キャプテンとしてチームを牽引したHO堀江翔太は「『海外の選手と対戦するが普通になってきた』と声もあがっていました。高いレベルにやり続け、強い相手はたくさんいた」と振り返る。

 

 今季限りで現役を引退した大野均氏は、堀江と同じく初年度のチームに加入。自身はライオンズとの開幕戦でSRデビューを果たした。「テストマッチレベルの試合をコンスタントに体験できる。南半球を長距離移動するタフなツアーは選手が鍛えられた」とサンウルブズ効果を語った。

 

 ラストシーズンとなった今シーズン、TLを経験する前にSRを味わった選手もいる。早稲田大学在学中に加わったサントリーサンゴリアスのSH齋藤直人だ。「対外国人選手という経験は想定することができても、実戦に勝るものはない」。チームに外国人選手が多いことは「外国の文化を学び、外国のことを知ろうすることが良かった。ラグビー以外の知識も増えました」と口にした。

 

 ジャパンの強化を支えたサンウルブズの5シーズン。惜しまれつつも、これにて解散となる。“特別だった”時間は終わりを告げた。

 

(文/杉浦泰介)