世界野球ソフトボール連盟(WBSC)が11月に日本と台湾で初開催する国際大会「プレミア12」に向けて、野球日本代表の「侍ジャパン」が16日、1次候補選手65名を発表した。選出されたのは最年長40歳の黒田博樹をはじめ、前田健太(ともに広島)、大谷翔平(北海道日本ハム)、藤浪晋太郎(阪神)、嶋基宏(東北楽天)、中田翔(日本ハム)、筒香嘉智(横浜DeNA)ら。ルーキーでは高木勇人(巨人)と山崎康晃(DeNA)が選ばれた。今後は9月に45名のロースターが発表され、最終的には28選手の代表が決定する。都内ホテルで会見に臨んだ小久保裕樹監督は「代表メンバーに入る新たな目標と自覚を持ってプレーしてほしい」と候補選手たちに期待を寄せた。
(写真:小久保監督(中央)と(左から)藤浪、柳田、前田、嶋、中田、筒香も会見に登場した)
「今の日本のプロ野球のトップ選手。今シーズン、状態が良くない選手、ケガをしている選手もいるが、過去の実績で選んだ」
 指揮官が選考基準を語ったように、代表での経験に重点を置いた候補メンバーだ。65名のうち、トップチームの代表未経験者は15名だけ。小久保監督が就任以降、侍ジャパンに招集してきた選手が大半を占めた。一方で、セ・リーグ本塁打、打点トップの畠山和洋(東京ヤクルト)、打率3割の角中勝也(千葉ロッテ)と今季、好成績を収めながら、リストに入らなかった選手もいる。

 球団別では埼玉西武が最多の11名。最少は阪神の2名だった。小久保監督は「各球団から何名という発想はゼロだった。今年の西武は打撃陣含めてレベルの高い選手が集まっている」と、現在、打率トップの秋山翔吾や、本塁打、打点で1位の中村剛也、19歳のスラッガー・森友哉などを1球団から大量に選出した理由を明かした。

 今後の選考のポイントは「11月にしっかりパフォーマンスを発揮できる」か。28名で最大8試合を戦うだけに「体に不安を抱えていると、他の選手に負担がかかる」とコンディションを重視する構えだ。最年長の黒田に関しても、「日本を代表してメジャーでも成功したピッチャー。成績的にも素晴らしいし、それ以外のプラスアルファもある」と評価しつつ、「体の状態もある」と本人と話し合ってメンバーに入れるか判断する考えを示した。

 今回の1次候補はNPBの12球団のみから選ばれた。イチロー(マーリンズ)や上原浩治、田澤純一(ともにレッドソックス)、青木宣親(ジャイアンツ)、田中将大(ヤンキース)といった日本人メジャーリーガーについて、小久保監督は「この先、MLBの動きを含めて調査する」と、参加が認められるかどうかを踏まえてチーム編成を行う意向だ。

 候補選手を代表して会見に参加した選手たちは、それぞれ意気込みを口にした。2年前のWBC代表だった前田は「準決勝で敗退した時に先発を任されて悔しい思いが残っている。日本代表として世界一をもたらせるようにしたい」と力を込め、中田は「今回は代表に貢献して勝ちたい」と決意表明した。

 野球解説者の前田智徳氏から希望の打順について訊かれた柳田は「1番を打ちたい」と即答。筒香も「クリーンアップ、5番です」と応じた。これを聞いた小久保監督は「柳田の1番は考えていない」と苦笑い。「28名の選手の編成でじっくり考えたい」とした。

 11月8日の韓国との開幕戦(札幌ドーム)を前に、11月5日と6日には福岡ヤフオクドームでプエルトリコ代表と強化試合を実施することも決まった。プエルトリコは2013年の第3回WBCでは侍ジャパンが準決勝で敗れた相手。現在の世界ランキングは9位で、今回のプレミア12にも出場する。またコーチ陣は、鹿取義隆投手コーチ、稲葉篤紀打撃コーチ、矢野燿大バッテリーコーチ、仁志敏久内野守備・走塁コーチが、これまで同様に務める。

 侍ジャパン1次候補選手は以下の通り。

<投手>
森唯斗、武田翔太(ソフトバンク)、金子千尋、松葉貴大、西勇輝(オリックス)、増井浩俊、宮西尚生、吉川光夫、大谷翔平(日本ハム)、西野勇士(ロッテ)、牧田和久、岸孝之、十亀剣、増田達至、高橋朋己、菊池雄星(西武)、則本昂大、松井裕樹(東北楽天)、澤村拓一、高木勇人、菅野智之(巨人)、岩田稔、藤浪晋太郎(阪神)、黒田博樹、前田健太(広島)、大野雄大、又吉克樹、福谷浩司(中日)、井納翔一、田中健二朗、山崎康晃(DeNA) 、小川泰弘(ヤクルト)

<捕手>
伊藤光(オリックス)、炭谷銀仁朗、森友哉(西武)、嶋基宏(楽天)、會澤翼(広島)、中村悠平(ヤクルト)

<内野手>
松田宣浩、今宮健太(ソフトバンク)、中田翔、中島卓也、西川遥輝(日本ハム)、今江敏晃(ロッテ)、中村剛也、浅村栄斗(西武)、銀次(楽天)、坂本勇人(巨人)、田中広輔、菊池涼介(広島)、川端慎吾、山田哲人(ヤクルト)

<外野手>
内川聖一、柳田悠岐、中村晃(ソフトバンク)、糸井嘉男(オリックス)、清田育宏(ロッテ)、秋山翔吾(西武)、亀井善行(巨人)、丸佳浩(広島)、大島洋平、平田良介(中日)、梶谷隆幸、筒香嘉智(DeNA)、雄平(ヤクルト)