J1に期待のティーンエージャーが続々と登場している。

“ガンバの超注目株”となっているのが高校3年生でトップ契約した17歳のFW唐山翔自である。J1公式戦デビューとなった8月12日のルヴァンカップ湘南ベルマーレ戦でいきなり2ゴールを挙げている。

 1点目はFKのボールをファーで待ち受け、バウンドしたボールを頭で押し込み、2点目は左からの折り返しを左足でしっかりとバウンドに合わせている。いいところにポジションを取っており、かつ、打ち損じてもおかしくない場面で決め切っているところに非凡の才を感じる。

 昨シーズンJ3で10試合8ゴールとその決定力には定評があった。今シーズンもJ3で既に5ゴールをマークしており、グッと成長してきそうだ。

 

 鹿島アントラーズは高卒ルーキーの4人が早くも活躍している。

 8月16日のJ1・ヴィッセル神戸戦では後半アディショナルタイム、FW染野唯月のアシストを受けてMF荒木遼太郎が右足でゴールを決め、“18歳ライン”によって同点に追いついている。鹿島の育成組織出身のGK山田大樹もこの試合でリーグ戦デビューを果たした。190㎝を誇り、利き足が左という希少なタイプ。堂々としたプレー、コーチングを見ても、鹿島の将来を担うGKとなる雰囲気は漂っている。

 1週間前のルヴァンカップ清水エスパルス戦では染野と、冬の高校選手権で優勝を果たした静岡学園出身のMF松村優太がプロ初ゴールを決めており、まさにルーキー同士の相乗効果があらわれていると言っていい。

神戸も、育成組織出身のルーキーFW小田裕太郎が鹿島戦でプロ初先発している。緩急をつけたドリブルは非常に個性的で、楽しみな存在だ。

 

 彼らばかりではない。

 昨季J2でも活躍した横浜FCの19歳、FW斉藤光毅はレギュラーに定着して第10節終了時点で2ゴールを挙げている。サガン鳥栖の19歳、MF松岡大起も昨季からコンスタントに出ているが、今季は中心選手の風格すら漂う。松岡と同期のMF本田風智も出場機会を増やしており、ブレイクする可能性は十分にある。

 ベガルタ仙台の18歳GK、小畑裕馬は183㎝と小柄だが、とにかく反応が良く、足もとの技術も見せている。J1の舞台で通用することを証明している。浦和レッズのMF武田英寿、横浜F・マリノスのMF松田詠太郎、湘南ベルマーレのDF畑大雅……注目のティーンエージャーを挙げるとキリがないほどだ。

 

 ティーンエージャーが積極的に起用されているのは、もちろん彼らの才能が素晴らしいことが一番。それに加えて、コロナ禍の影響を受けた過密日程と5人交代制、そして降格なしルールによって、「起用しやすい状況」であることも後押ししている。

 いやいや、ウチにもいい若手がいますよとばかりに、ティーンエージャーを積極的に使う風潮が広がっているのも確かだ。

 相乗効果はクラブ内だけにとどまらず、リーグ全体として出ているようにも感じる。俺も負けたくない、と闘志に火がつくのは言わば当然だ。

 

 最後にもう1人、紹介したい。

 セレッソ大阪の18歳、MF西川潤である。U-17ワールドカップ、U-20ワールドカップにも出場した大器。7月にケガもあって出遅れていたのだが、8月15日の柏レイソル戦のプロ初ゴールはあまりに見事だった。

 柿谷曜一郎からの浮き球のパスに対して抜け出した彼は相手GKの動きを冷静に見て、左足でループ気味に放り込んだ。スター性を感じる一発でもあった。

 

 名前を挙げてきたこれらの選手のなかから、一体誰が抜け出してくるか。

 2020年のJリーグにおける大きな楽しみのひとつである。


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