トヨタ自動車、昨季女王のビックカメラ高崎に大勝で白星スタート ~日本女子ソフトボールリーグ~
6日、第53回日本女子ソフトボールリーグ1部後半開幕節2日目が神奈川・大和スタジアムで行われ、トヨタ自動車レッドテリアーズが昨季優勝のビックカメラ高崎BEE QUEENを10-1で破った。その他の試合はSGホールディングスギャラクシースターズが戸田中央総合病院メディックスを延長タイブレーカーの末に2-1で、伊予銀行VERTZは日本精工BraveBeariesを5-3で下した。
4番・古澤、3安打4打点の大活躍
ビックカメラ高崎BEE QUEEN 1 = 1000000
トヨタ自動車レッドテリアーズ 10 = 230104×
勝利投手 三輪(1勝0敗)
敗戦投手 上野(0勝1敗)
本塁打 (ビ)市口1号ソロ
王座奪還に燃えるトヨタ自動車が相手エースを打ち崩し、約5カ月遅れとなった開幕戦を大勝で飾った。
ビックカメラ高崎・上野由岐子、トヨタ自動車・後藤希友。優勝候補同士の今季初戦は現日本代表のエースと次代のエース候補がマウンドに上がった。
後藤は1回表に山本優、森さやかという日本代表に名を連ねる強打者を抑えた。しかし、3番の市口侑果にはセンターへ打ち返された。打球はセンター山崎早紀がフェンス際で伸ばしたグラブを弾き、そのままホームラン。上野相手に先制点を許してしまった。
先制点をもらった上野だが、ボールが安定しない。先頭の石川恭子を死球で歩かすと、3番・堤加菜子にはフォアボール。1死一、二塁で4番の古澤春菜を迎えた。トヨタ自動車のキャプテンにセンター前へ弾き返され、同点に追いつかれた。
上野は2死から山崎に内野安打で出塁を許すと、渥美万奈の2球目でバッテリーエラーが。我妻がミットを弾くパスボールで勝ち越される。上野は渥美に対しても死球。再び満塁のピンチを招いた。ここは上野が意地を見せ、切石結女をピッチャーゴロで抑えた。
リードをもらった後藤は、「チームが援護してくれたので気持ちを切り替えることができた」と2回表を三者凡退に切って取った。その裏、トヨタ自動車はさらに上野を攻め立て、19歳のサウスポーを援護する。
1死一、二塁と初回と同じチャンスで、再び古澤のバットが火を噴いた。ライトオーバーのスリーベースで2人を還した。続く長﨑望未はインコースの球を詰まりながらもライト前に運んだ。トヨタ自動車は5-1とリードを4点に広げた。
後藤は3回表も三者凡退で抑え、御役御免となった。中西あかね監督によれば、計算通りの継投で4回表は江渡祐希を送った。江渡がゼロで抑えると、その裏に古澤がタイムリー。今季から4番に起用されたキャプテンは上野から3安打4打点と大活躍だ。本人は「チームの主軸としての仕事を果たせた」と胸を張った。
一方、ビックカメラ高崎の上野はこの回でマウンドを降りた。「キレ、感覚は悪くなかったが、投げていてしっくりこなかった。マウンドと合わせることができなかった自分のスキル不足だった」。4回6失点5四死球と制球に苦しんだ。
トヨタ自動車は5回からの2イニングは3番手の三輪さくらがゼロで抑えると、降雨により1時間以上の中断後、6回裏に打線がトドメを刺す。3番・堤、6番・山崎のタイムリーなどで4点を加え、得点を2ケタに乗せた。
7回表のマウンドには新戦力ヴェロニカ・ベツコヴァが登板した。チェコ代表の右腕は2人を歩かせたが、無失点で試合を締め括った。トヨタ自動車は4投手の継投で1失点に抑えた。
「(モニカ・)アボットがいない中、それぞれの役割を果たしてくれた」と中西監督。エースのアボットは新型コロナウイルス感染拡大の影響で、合流の目途が立っていない。今後も後藤ら5投手でやり繰りしていくことを示唆した。
「たくさん点を取り、全員投げさせて絶対勝つと思っていた」と古澤は言う。打線も上野対策で積極的なスイングが目立った。王座奪還を目指すシーズン。キャプテン3季目の古澤は「良いスタートを切れてよかった」と笑顔で語った。
今季はコロナ禍により前半戦が中止。1回戦総当たりの11試合のみでリーグ戦は行われる。敗れたビックカメラ高崎の岩渕有美監督は「反省すべき点がたくさん。次に向けた試合にしていかないと一瞬で終わってしまう」と危機感を募らせる。次節は地元高崎に帰り、Honda Revertaと太陽誘電ソルフィーユ対戦する。
近年優勝を分け合っている2強が、今季の初戦で明暗分かれた。
ルーキー安川、2本塁打の圧巻デビュー
日本精工BraveBearies 3 = 0010002
伊予銀行VERTZ 5 = 200003×
勝利投手 庄司(1勝0敗)
敗戦投手 藤嶋(0勝1敗)
本塁打 (伊)安川1号2ラン、2号ソロ
高橋&山本の19歳コンビ、重盗で同点演出
SGホールディングスギャラクシースターズ 2 = 00000011
戸田中央総合病院メディックス 1 = 00010000(延長8回タイブレーカー)
勝利投手 パーナビ―(1勝0敗)
敗戦投手 テーラー(0勝1敗)
(文/杉浦泰介、写真/公益財団法人日本ソフトボール協会)
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