(写真:インサイドで力強さを発揮し、チームの得点源になっている谷村)

 26日、第22回Wリーグ(バスケットボール女子日本リーグ)第2週初日が愛知・岡崎中央総合公園総合体育館と東京・アリーナ立川立飛で行われた。イースタンカンファレンスは日立ハイテククーガーズがシャンソン化粧品シャンソンVマジックに73-70と競り勝ち、全勝対決を制した。日立ハイテクは、東京羽田ヴィッキーズに109-78と快勝したENEOSサンフラワーズと共に開幕3連勝。ウエスタンカンファレンス(西地区)は、唯一の開幕2連勝中のトヨタ自動車アンテロープスが三菱電機コアラーズを82-69で下した。

 

 谷村、古巣相手に24得点9Rで恩返し(アリーナ立川立飛)

シャンソン化粧品Vマジック 70-73 日立ハイテククーガーズ

【第1Q】17-11【第2Q】18-27【第3Q】23-23【第4Q】12-12

 

 開幕2連勝チーム同士の対決は、新生・日立ハイテクが制した。

 

 日立ハイテクは新潟アルビレックスBBラビッツとの開幕2連戦を91-50、112-60と大勝した。CF谷村里佳、CF佐藤奈々美という新戦力の活躍で、最高のスタートを切った。アリーナ立川立飛で迎えたシャンソン化粧品戦は、谷村にとっては古巣との対戦である。昨季はキャプテンも務めた。「成長したところ、頑張るところを見せることが恩返し」との想いで臨んだ。

 

(写真:野口は3戦連続2ケタ得点を挙げたものの、チームの連勝はストップ)

 試合は両チーム、約3分得点が入らない、スコアの重い時間が続いた。先制はシャンソン化粧品。PF野口さくらがスリーポイントを入れる。日立ハイテクもすぐさま得点を返す。SG北村悠貴のシュートがこぼれたところをC谷村がリバウンドをきっちり取る。冷静にゴール下から決めた。

 

 谷村はその後も存在感を放った。4-11とビハインドの場面ではスリーポイントを沈めて追撃開始。さらにはディフェンスリバウンドを取ると、そのまま敵陣へボールを運んだ。スリーポイントエリア付近で待つ北村にパスを預け、自らはペイントエリアに侵入。フリーでボールをもらい、シュートを決めた。第1Qは11-17でリードを許したが、谷村は9得点を挙げるなど奮闘した。

 

(写真:3本のスリーポイントを含む12得点を挙げた白鞘)

 第2Qは日立ハイテクのベンチメンバーが活躍する。SG白鞘郁里が連続スリーポイントで点差を縮めると、北村のスリーポイントで逆転。このQで27得点と量産し、38-35で前半を終えた。白鞘は第2Qだけで8得点2スティールの活躍。選手層の厚さを証明したかたちだ。

 

 第3Q以降はどちらに転ぶかわからないシーソーゲーム。第3Qはともに23得点を挙げ、3点差のまま第4Qを迎えた。拮抗したゲームは残り1分半を切ったところで、シャンソン化粧品が1点のリード。時計の針は進み、残り45秒で日立ハイテクがタイムアウトを取った。

 

 日立ハイテクの作戦は谷村で勝負。谷村にインサイドで1対1の場面をつくり、彼女の決定力にかけた。「周りのディフェンスが寄っていても自分が行こうと決めて(コートに)入りました」と谷村。ゴール下へアタックし、シュートを決めた。日立ハイテクが71-70と逆転に成功した。

 

(写真:曽我部は5得点だったが、粘り強いディフェンスでシャンソン化粧品を苦しめた)

 残り時間は30秒以上あったものの、シャンソン化粧品の攻撃を凌ぎ切り、PG曽我部奈央のシュートで点差を広げた。そのまま73-70でタイムアップ。これで日立ハイテクは開幕3連勝を果たした。昨季は中断、中止となったとはいえ、3勝どまり。既にその勝利数に並んだ。昨季のリーグ戦で2戦全敗だったシャンソン化粧品に競り勝ち、勝負強さも見せつけた。

 

 24得点を挙げた谷村はポイントゲッターとしての役割だけでなくインサイドで身体を張り、チームに貢献した。13得点のPF鈴木知佳も「私たち2人でインサイドを頑張るのがチームでの役割。そこを果たせたのかなと思います」と胸を張った。新生・日立ハイテクがリーグ戦の台風の目となるか。

 

(文/杉浦泰介、写真/©Wリーグ)