5年目のB.LEAGUEがいよいよ始まる。2日の東地区アルバルク東京vs.川崎ブレイブサンダース戦を皮切りに、2020-21シーズンの幕が開ける。今季B1は過去最多の20チームが参加。東西2地区制で行われる。

 

 新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、シーズン打ち切りとなった昨季はチャンピオンシップ(CS)、B2プレーオフ、B1残留プレーオフと入替戦もなかった。

 

 そのため今季のB1は、新様式で行われる。例年、都内で一堂が会するティップオフ・カンファレンスはオンラインで実施された。2つの対戦カードごとに9月28日から開幕日の10月2日までの5日間、YouTubeのB.LEAGUEチャンネルなどで順次配信している。

 

 チーム数は18チームから20チームに増えた。昨季B2勝率上位の信州ブレイブウォリアーズと広島ドラゴンフライズが昇格したからだ。残留プレーオフ、入れ替え戦がなかったため、降格チームはなかった。この20チームで争われるレギュラーシーズンは東中西の3地区制から東西2地区制に変更された。

 

 CSへは東西上位3チームが自動的に進出。残り14チームの勝率上位2クラブまでがチャンピオンリングを賭けた戦いに挑める。A東京、川崎、千葉ジェッツふなばし、宇都宮ブレックスの4強を中心とする東地区が激戦区と言われている。過去3シーズン行われたCSはA東京が2回、宇都宮が1度制している。川崎は準優勝1回、千葉は同2回だからである。ファイナルにコマを進めたことがあるのは、この4チームだけだ。シーズンMVP受賞者もこの4チームに散らばっている。

 

(写真:先出し開幕戦で対決するA東京の田中<左>と川崎の篠山 ©B.LEAGUE)

 その期待もあってか全試合に先駆けての開幕戦に指名されたのが、東京・アリーナ立川立飛でのA東京vs.川崎戦だ。昨季はCSを開催しなかったため、B1優勝チームはなしという扱い。2連覇中だったA東京は、3連覇に再び挑むシーズンとなる。対する川崎はリーグ初年度に準優勝を経験したCS常連クラブである。

 

 A東京は昨季勝率1位で、SG田中大貴はMVPを獲得した。今季も優勝候補に挙げられる。PG安藤誓哉をはじめ、Cアレックス・カーク、PF/C竹内譲次ら主力が残留するなどチームに大きな入れ替えはない。「3連覇に挑戦できるのはウチだけ。これまで厳しい地区を勝ち抜いてきた自負がある。チャレンジにやりがいを持って戦いたい」(田中)。ルカ・パヴィチェヴィッチHCの下、鍛え上げられたタフなディフェンス。開幕の対戦相手・川崎のPG篠山竜青も「リーグの中でもディフェンスが激しいチーム」と警戒する。突破力のあるGと、インサイドで力を発揮するビッグマンを生かしたオフェンス戦術「ピック&ロール」は、分かっていても止めるのは難しい。今季もリーグで猛威を振るうはずだ。

 

 敵地に乗り込む川崎も選手の入れ替えが少なく、熟練度が増したチームのひとつだろう。昨季は全体3位の勝率。初代得点王&MVPのCニック・ファジーカス、日本代表のシューターSG辻直人らは健在。中からも外からも点が取れるオフェンス力が武器だ。今季は外国籍選手のベンチ登録が3枠に拡大されている。ファジーカスは帰化選手枠でプレー。最大4人の外国出身選手を揃えることができるのも大きなアドバンテージだ。A東京の田中は「サイズがあり、機動力もあるので脅威」と語っている。「(打ち切りとなった)昨季の悔しさをエネルギーにし、今季に懸けたい」と篠山。悲願のB.LEAGUE初タイトルに向けて燃えている。

 

(写真:千葉は開幕戦でフィリピンの大物ラベナを獲得した三遠と対戦 ©B.LEAGUE)

 悲願のB1制覇に熱く燃えているのは千葉も同じだろう。17年から全日本総合選手権大会を3連覇。17-18シーズンから2年連続2位とチャンピオンリングの目前まで迫りながら、あと一歩タイトルに届かなかった。今季はスペイン代表のPF/Cセバンスチャン・サイズが加入。昨季サンロッカーズ渋谷の躍進を支えた走れるビッグマンは、速攻を持ち味とする千葉のバスケにもマッチするはずだ。大野篤史HC体制5季目。PG富樫勇樹によれば、「チームとしてHCの考えを理解し、千葉のプレースタイルが確立されてきた。今季はより優勝に近付いている実感がある」という。

 

 東地区にばかり、目がいきがちだが西地区も意地を見せたいところだ。琉球ゴールデンキングス、シーホース三河はCSの常連組。この2強に食い込んできそうなのが名古屋ダイヤモンドドルフィンズだ。昨季ブレークしたPG齋藤拓実に加え、PFレネ・ライオンズ、PF/Cジェフ・エアーズというB1でプレーした外国籍選手を獲得。2強にも引けを取らない陣容となった。B2からの昇格組である信州と広島はいずれも西地区に入った。B1初挑戦組がどれほど地区をかき回すかによって勢力図も塗り替えられるだろう。

 

(文/杉浦泰介)