“革命戦士”の半生に迫る、新刊『真説・長州力 1951-2015』

(写真:「いろいろとぶつかったこともあったが、それ以上に得るものもあった」と40年のプロレス生活を総括する長州)
「自分の打ち込んできたものはプロレス。ファンの方にも、一般の方にも読んでもらえれば。東京に出てきて40年間、長いなと思う半面、あっという間だった。人間って、年とともに背中にどんどんいろんなものを背負っていくんだなという感じ」
仕上がった原稿を読んで長州はそんな感想を抱いたという。新刊は500ページ弱にものぼる大作だ。在日朝鮮人2世として生まれた幼少期の苦悩から、レスリングの韓国代表として出場したミュンヘン五輪、アントニオ猪木との出会い、“噛ませ犬”事件の真相、ジャパンプロレスの立ち上げ、UWFインターナショナルとの全面対抗戦、WJプロレスの旗揚げと崩壊、どん底からのカムバック……。「本当にオレがしゃべったことなのかな」と本人も苦笑いするほど中身は詳細だ。
田崎氏による取材は2013年5月から2、3カ月に1回のペースで行われ、延べ30時間以上に渡ったという。関係者も藤波辰爾、初代タイガーマスクの佐山聡、坂口征二、アニマル浜口、大仁田厚らが登場。丹念な取材の積み重ねから生まれた一冊は、「自分を語ったり、過去をしゃべるのはすごくつらくて面倒くさい。オマエたちにオレの何がわかると思っていた」と半生を振り返るのに積極的ではなかった長州が、「ここまで書くとは思わなかった。どうやって調べたのかなと思ってビックリした」と驚くほどだ。
「自分の人生、身の丈にあったところで行けるところまで行った納得感はある。最後くらい、ゆっくり降りようかな」
そう語る長州だが、「ガキの頃から体を動かすのは好き」と、64歳を迎える今後も闘いはやめない。
「生い立ちから現在まで自分というものを書いていただき、大変、光栄に思っています。やってきたことに対して、よく頑張ってきたなという思いもある。1度しかない人生、僕はこういう人生だったんです」
長州力というファイターの人生を通して、日本のプロレス史が浮かびあがってくる。そんなノンフィクションである。
【書籍概要】

第一章 もうひとつの苗字
第二章 ミュンヘンオリンピック韓国代表
第三章 プロレスへの戸惑い
第四章 「長州力」の名付け親
第五章 メキシコに「逃げる」
第六章 「噛ませ犬」事件の“謎”
第七章 タイガーマスク引退とクーデター
第八章 ジャパンプロレスの野望
第九章 長州を恨む男
第十章 現場監督の秘密
第十一章 消されたUWF
第十二章 アントニオ猪木と大仁田厚
第十三章 WJプロレスの躓き
第十四章 どん底
第十五章 再び、「ど真ん中」に
エピローグ 赤いパスポート
(集英社インターナショナル/定価:1900円+税/田崎健太著)
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