4日、ラグビーの関東大学対抗戦Aグループが東京の各地で開幕した。昨年度日本一の早稲田大学が青山学院大学を47-21で破った。同準優勝で、対抗戦を制した明治大学は立教大学に73-15に快勝。帝京大学は日本体育大学を98-10で、筑波大学は慶応義塾大学を30-19で下した。

 

 大学王者が開幕白星発進だ。昨年度、新国立競技場で行われた大学選手権決勝での早明戦を制し、11季ぶりの王者に輝いた早大。連覇に向けたスタートを切った。

 

 新国立に『荒ぶる』を鳴り響かせたチームから4年間主力としてプレーしてきたSH齋藤直人(サントリーサンゴリアス)、SO岸岡智樹(クボタスピアーズ)、CTB中野将伍(サントリー)らが抜けた。

 

 新キャプテンのNo.8丸尾崇真(4年)は開幕前にこう語っていた。

「むしろ楽しみですね。圧倒的な力を持った先輩たちが抜けるので戦力ダウンと見られることは仕方がないことです。その一方で先輩たちの陰に隠れていた選手たちが成長できる利点もありますから」

 

 相良南海夫監督が今季のポイントに挙げていたのは齋藤と岸岡の組み合わせがほぼ不動だったハーフ団だ。この日は小西泰聖(2年)をSH、吉村紘(2年)をSOに起用した。昨年度の花園を制した桐蔭学園の司令塔、1年生SO伊藤大祐はメンバー入りしなかった。

 

 先制は早大。前半3分、敵陣左でのラインアウトからチャンスをつくった。小西、吉村と繋ぎ、WTB古賀由教(4年)が中央突破。最後はFL田中智幸がインゴール中央にトライ。吉村のコンバージョンキックが決まり、幸先良く7点をリードした。

 

 ここから約25分スコアが動かない。青学大のディフェンスに苦戦し、ミスやペナルティーが目立ってしまった。それでも27分、PR小林賢太(4年)がトライ。2分後には小林のビッグゲインから小西、古賀と繋いでトライを挙げる。吉村がコンバージョンをもう1本決め、19-0と点差を広げた。

 

しかし35分、青学大にインターセプトからカウンターを食らい、独走トライを許した。青学大SO桑田宗一郎(3年)がコンバージョン1本、PG2本を決められ、早大は6点差に迫られた。

 

 後半8分には、FB南徹哉(4年)が左サイドを駆け抜ける。そこから右に展開し、大外でボールを持ったWTB槇瑛人(2年)が2人をかわし、インゴール右に飛び込んだ。吉村のコンバージョンで26-13と青学大を突き放す。

 

 それでも青学大はエンジと黒のジャージーに食らいついてきた。12分にこぼれ球を拾い、桑田がトライ。18分には桑田がPGを決め、点差を5点に縮めた。

 

 青学大の粘りに苦しんだ早大だったが、21分に吉村がトライ。34分に途中出場の今駒有喜(2年)、38分には松下怜央(2年)がトライを挙げた。吉村はコンバージョンを3本とも成功させた。47-21でノーサイド。今季初戦を白星で飾った。

 

 青学大の大友孝芳監督が「前半はある程度プラン通りにいったが、勝負どころのミスが最後の点差に響いた」と語れば、キャプテンのCTB西野稜祐(4年)はディフェンス面に手応えを得たものの、「実力の差が出てしまった」と肩を落とした。

 

 早大の相良監督は「コロナ下で、選手も期するところが大き過ぎて、終始硬くなっていた」と振り返った。キャプテンの丸尾は「ミスも多く浮足立ってしまった。次の試合に向けて修正していきたい」と反省した。

 

 今年度は新型コロナウイルス感染拡大の影響で春季大会は中止、トレーニングや夏合宿も満足に積めないままリーグ戦が始まった。

「実戦形式の少ない中での開幕を迎えた。難しい面はありますが、一戦一戦、試合の中で成長していきたい」(丸尾)

 

 例年より約1カ月遅れの開幕となった。早大にとって優勝争いのライバル明大と帝京大は大勝スタートだ。次週は早大が立大、明大が青学大、帝京大は筑波大と対戦する。

 

(文/杉浦泰介)