ラグビーの関東大学対抗戦Aグループが1日、東京・秩父宮ラグビー場で行われ、昨年度日本一の早稲田大学が、帝京大学との全勝対決を45-29で制した。同準優勝で、対抗戦を制した明治大学は慶應義塾大学に12-13で競り負けた。これで開幕から4連勝は早大のみ。帝京大、明大、慶大が1敗で続いた。

 

 今季初対決となった早大と帝京大。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、春季大会が中止になるなど、対戦機会がなかった。昨季は34-32で早大が競り勝った。今季は互いに開幕から3連勝した段階で対戦した。

 

 序盤幸先良く点数を重ねたのは早大だった。9分、敵陣深くでのスクラムからNo.8丸尾崇真(4年)のパスからCTB平井亮佑(4年)がインゴール中央に先制トライ。コンバージョンキックをSO吉村紘(2年)が決め、7点をリードした。14分には対抗戦デビューとなったFL坪郷智輝(4年)にもトライが生まれ、12-0と点差を広げた。

 

 対する帝京大も重量FWで圧力をかける。18分にCTB押川敦治(3年)のトライ、直後のFB奥村翔(4年)のコンバージョンで5点差に詰め寄る。25分には敵陣でのスクラムから押し込み、最後はNo.8奥井章仁(1年)がインゴールに飛び込む。奥村のコンビネーションも決まり、14-12で逆転に成功。29分にはラインアウトからのモールでインゴールまで迫ると、FLリッチモンド・トンガタマ(3年)が長い手足を生かしてトライを挙げた。

 

 12-19とリードを広げられた早大は、37分にモールからLO下川甲嗣(4年)がトライを獲った。吉村がコンバージョンを成功し、19-19の同点でハーフタイムを迎えた。

 

 後半に入ると早大のペースに。13分にCTB長田智希(3年)のトライで勝ち越した。吉村のコンバージョンで7点差をつけると、17分にはマイボールスクラムを押し込まれながらも、丸尾が中央突破を見せた。右へ展開し、最後は大外のWTB槇瑛人(2年)がセンターライン付近でボールを受けた。槇はステップでタックルをかわし、ピッチを駆け抜けた。槇のトライ、吉村のコンバージョンで33-19とリードを広げる。

 

 早大は帝京大に1トライを返されたものの、坪郷のトライなどで45-24と突き放し、勝負を決めた。終了間際にトライを奪われ、45-29でノーサイド。昨年度日本一の早大が2季ぶりの対抗戦優勝、3季ぶりの日本一を狙う帝京大を下した。

 

 早大の相良南海夫監督は「重く強いチームに対して、どこまで出し切れるかがテーマだった。選手たちはしっかりとしたマインドで前に出た」と語った。サイズで劣り、スクラムなどでは押し込まれる場面もあったが、ラインアウトやアタックで工夫した。指揮官は「今週準備した結果」と胸を張った。

 

 敗れた帝京大は今季初の秩父宮、有観客での試合だった。「前後半で硬さが取れなかった」と岩出雅之監督。途中出場のキャプテンでFL松本健留(4年)は「緊張があり、自分たちのペナルティーが多かった。規律守れず自分たちの強みを出せなかった」と反省した。ゲームキャプテンを務めた奥村も「我慢し切れず、プレーの継続ができなかった」と足が止まっていたことを悔やんだ。

 

 早大は開幕戦こそ青山学院大学に苦戦する場面も見られたが、徐々に調子を上げてきている印象だ。「この試合がひとつ目の勝負どころ」と良い緊張感を持てたとキャプテンの丸尾は振り返った。

「接点で我慢強く80分間やり続けた結果。(今季の)過去3試合と比べても、こちらから仕掛けるマインドを持ち続けた」

 

 今季は対抗戦から5校までが全国大学選手権に出場できる。早大は6日後に筑波大学、帝京大は7日後に立教大学と対戦する。

 

(文/杉浦泰介)