(写真:堀口のパネルを持った朝倉海。バンタム級最強をかけて闘う)

「前回はKOで負けたのでやり返したい。夏ぐらいから本格的に練習をはじめ、試合ができるコンディションに戻っています。見ていてください」(堀口恭司)

「相手は格闘技界を背負ってきた選手で一筋縄ではいかない。でも僕はこの1年間で4試合をやってチャンピオンになり、以前よりも強くなっている。またぶっ倒したい」(朝倉海)

 今日(11月13日)、都内での記者会見で、大晦日の『RIZIN.26』(さいたまスーパーアリーナ)の開催が正式に発表された。

 

 この大会のメインエベントは、王者・朝倉海vs.挑戦者・堀口恭司のRIZINバンタム級タイトルマッチ。1年4カ月ぶりの再戦である。

 

 昨年8月、ドルフィンズアリーナ(愛知県体育館)『RIZIN.18』で両者は初対決。ノンタイル戦ではあったが周囲の予想を覆して朝倉が68秒KOで王者・堀口をマットに沈めた。

 

 この年の大晦日に今度はタイトルを賭けて再戦が行われる予定だったが、10月に堀口が大怪我(右ヒザの前十字靭帯断裂と半月板損傷)に見舞われてしまう。手術を余儀なくされ、この時はリマッチが実現しなかった。その後、堀口はタイトルを返上。マネル・ケイプの腰を経て、現在ベルトは朝倉が保持している。

 

 王者と挑戦者の立場を逆にして決着戦が行われる運びとなったわけだ。

 この日の会見には朝倉が壇上に登場。米国でトレーニングを積んでいる堀口はオンラインでの参加となった。

 

 心配されたのは堀口のコンディション。これについて本人は、力強いコメントをしている。

「海君には試合を待ってもらった。これ以上待たせるわけにはいきません。ダイレクトリマッチになりますが、すでに闘う準備はできています!」

 

 新庄剛志も参戦か!?

 

(写真:米国からオンラインで意気込みを語る堀口<左>)

 両者ともに万全の状態での激突となる。

 新時代を切り拓いた朝倉がエースの座を守るのか、それとも堀口の復権か。いずれが勝つにせよ、レベルの高い好勝負が期待できそうだ。

 

 今年も昨年同様、この大会の模様はフジテレビで生中継される。

 全15試合が予定されており、那須川天心、トフィック・ムサエフ、皇治、浜崎朱加、浅倉カンナも参戦する模様。

 またRIZINは、元プロ野球選手の新庄剛志にも出場をオファーしている。

 元メジャーリーガーで、阪神タイガース、北海道日本ハムファイターズなどでも活躍した新庄は、いま日本球界復帰を目指している。来月7日に行われるNPBトライアウトに向けてトレーニング中だ。

 

 もし、どこかの球団が獲得に動けば、新庄のRIZIN参戦はないだろう。しかし、球界復帰の夢が叶わなかった場合は、リングに上がる可能性もある。

「実際に本人に会って話しました。プロ野球に復帰することが一番でしょうが、興味は持ってくれています。年末だしエンターテインメントとしても盛り上げてもらいたい。(出場の可能性は)50%はあると思う」(RIZIN榊原信行CEO)

 

 もちろん、新庄が本気で格闘家に転向するとは思えない。RIZINのエンターテインメント部門を担うかもしれないということだろう。

 果たして、どうなるのか?

 これから12月にかけて続々と対戦カードが発表されることになる。楽しみに待ちたい。

 

近藤隆夫(こんどう・たかお)

1967年1月26日、三重県松阪市出身。上智大学文学部在学中から専門誌の記者となる。タイ・インド他アジア諸国を1年余り放浪した後に格闘技専門誌をはじめスポーツ誌の編集長を歴任。91年から2年間、米国で生活。帰国後にスポーツジャーナリストとして独立。格闘技をはじめ野球、バスケットボール、自転車競技等々、幅広いフィールドで精力的に取材・執筆活動を展開する。テレビ、ラジオ等のスポーツ番組でもコメンテーターとして活躍中。著書には『グレイシー一族の真実 ~すべては敬愛するエリオのために~』(文春文庫PLUS)『情熱のサイドスロー ~小林繁物語~』(竹書房)『キミはもっと速く走れる!』『ジャッキー・ロビンソン ~人種差別をのりこえたメジャーリーガー~』『キミも速く走れる!―ヒミツの特訓』(いずれも汐文社)ほか多数。最新刊は『プロレスが死んだ日。』(集英社インターナショナル)。

連絡先=SLAM JAM(03-3912-8857)


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