サッカー日本代表は18日(日本時間)、メキシコ代表とオーストリア・グラーツで親善試合を行ない0対2で敗れた。後半18分、FWラウル・ヒメネスに先制点を奪われた。その5分後にはFWイルビング・ロサノに追加点を許した。日本は10月のオランダ遠征に続き、今回の遠征でも流れの中から得点を奪うことはできなかった。

 

鈴木、決定機でゴール奪えず

日本代表 0-2 メキシコ代表(グラーツ)

【得点】

[メ] ラウル・ヒメネス(63分)、イルビング・ロサノ(68分)

 

 日本は前半のチャンスをものにできず、試合の流れをメキシコに渡してしまった。仕留める時に、仕留めきれなかった。そのツケが後半にまわってきた。

 

 10分、MF鎌田大地(フランクフルト)がペナルティーエリア左サイドを鋭い切り返しでえぐりゴール前に折り返すものの、FW鈴木武蔵(ベールスホット)には惜しくも合わず。12分には鎌田が右サイドから逆サイドに大きく展開する。左サイドでボールを受けたMF原口元気(ハノーファー)がDFをひとりかわし、ペナルティーエリア外から右足でミドルシュートを放つ。ゴール右隅をとらえた際どいシュートは相手GKのファインセーブにより得点には至らなかった。

 

 15分、MF柴崎岳(レガネス)からペナルティーエリア手前左サイドの原口に鋭いパスが渡る。原口はエリア内の鈴木にラストパス。鈴木はゴール左下を狙うが相手GKの右足に阻まれた。16分には右サイドからDF冨安健洋(ボローニャ)がアーリークロスを供給する。これをゴール前ファーサイドに走り込んだ鎌田がヘッドで合わせるもののオフサイドと判定された。

 

 これらの好機を1つもモノにできなかった。メキシコはハーフタイムを利用し、4-3-3から4-2-3-1にシステムを変更してきた。ダブルボランチにしたことでボールの回りが改善された。

 

 日本は前半のようにボールをつなぎ、チャンスを作ることができなくなった。18分、ついに日本の守備陣の踏ん張りがきかなくなった。日本の右サイドをFWオルベリン・ピネダとヒメネスの連係で崩される。ヒメネスはペナルティーエリア内左サイドから右足のツマ先でシュートを放つ。タイミングを外されたGKシュミット・ダニエルはセーブすることができず、メキシコに先制点を奪われた。

 

 メキシコの勢いは止まらない。先制点から5分後だった。前がかりになった日本の浅いDFラインの裏にFWエンリ・マルティンが右足アウトサイドでスルーパスを入れる。オフサイドをかいくぐりながら反応したロサノにボールが渡る。シュミット・ダニエルが前に飛び出すものの、ロサノに落ち着いてゴール左に流し込まれた。

 

 流れを引き寄せたい日本は27分にMF久保建英(ビジャレアル)、32分にはFW浅野琢磨(パルチザン)ら攻撃的な選手を立て続けに投入するが、ゴールネットを揺らすことはできなかった。2点をリードし、無理をする必要がないメキシコはDFラインを低くし、ゴール前のスペースを消しにかかった。浅野のスピードが生かせる場面は皆無に等しかった。

 

 日本にとってこのメキシコ戦が年内最後の試合だった。10月の遠征に続き、流れの中から得点は奪えなかった。来年3月のカタールワールドカップアジア予選に向け、不安は解消されることはなかった。攻撃的なポジションを担う選手たちには各所属クラブで課題解決の糸口を見つけてもらいたい。

 

(文/大木雄貴)