20日、第87回皇后杯全日本バスケットボール選手権大会最終日が東京・代々木第二体育館で行われ、ENEOSサンフラワーズがトヨタ自動車アンテロープスを87-80で下した。ENEOSは8大会連続25度目の優勝。トヨタ自動車は前半リードを奪いながら、逆転負けを喫し、8大会ぶりの優勝に惜しくも届かなった。

 

◇決勝

 ENEOS、スタメン4人がフル出場(代々木第二体育館)

ENEOSサンフラワーズ 87-80 トヨタ自動車アンテロープス

【第1Q】18-27【第2Q】23-20【第3Q】23-16【第4Q】23-17

 

 選手たちの流した涙に、ENEOSのV8までの険しい道のりが窺えた。ここ数年の決勝は20点以上の差をつけていたが、今回は1ケタ点差。 主力をケガで欠くという苦難を乗り越え、掴んだ皇后杯だ。

 

 今季のWリーグ前半戦を無敗で終えた女王ENEOS。ケガ人を抱えながらも、圧倒的な実力を見せてきた。しかし皇后杯ではエースのCF渡嘉敷来夢、C梅沢カディシャ樹奈が負傷。インサイドの柱を失った状態で決勝を迎えることとなった。

 

 2人の代わりにインサイドを任されたのはCF中村優花、CF中田珠未。G宮崎早織、GF岡本彩也花、F宮澤夕貴とスターティングラインアップに名を連ねた。

 

 中村が決めて先制したENEOSだったが、第1Qはトヨタ自動車にペースを握られた。CF馬瓜エブリンに11得点、G三好南穂に8得点を奪われるなど、最大で14点差をつけられた。このQは18-27とリードを許した。

 

 第2Qは宮澤と中田の活躍で点差を詰め、6点のビハインドでハーフタイムを迎えた。我慢の前半を乗り越えたENEOSは後半エンジンを掛けたようにスコアを伸ばす。

 

 ENEOSのスピーディーな攻撃とアグレッシブな守備に翻弄されたのか、トヨタ自動車はファウルが目立つようになる。フリースローでも得点を重ね、第3Q終了間際に中田のジャンプシュートで64-63と逆転に成功した。

 

 第4QもENEOSの勢いは衰えない。宮崎、岡本、宮澤、中田は出ずっぱりにも関わらずキレのある動きを見せ続けた。23点を上積みし、トヨタ自動車には17得点しか許さなかった。87-80で試合終了のブザーを聞き、ベンチメンバーと共に涙を流しながら喜びを分かち合った。

 

 ENEOSの梅嵜英毅HCは選手を称え、「第4Qの力が本当の力。最後までディフェンスを徹底して走れた」と胸を張る。この試合で起用したのはわずか6人。スタメン4人がフル出場し、中村も約33分コートに立った。にも関わらず試合終盤に疲労が見えたのは、むしろトヨタ自動車の方だった。

 

 スタメン全員が15得点以上奪うなど、メンバーがバランス良くスコアした。改めてENEOSの底力を感じさせた皇后杯だった。

 

(文/杉浦泰介)