(写真:3年目からセカンドを守る正木。堅い守備が持ち味で昨季のエラーはわずかに1)

 伊予銀行VERTZは、昨季日本女子ソフトボールリーグ1部を過去最高の7位で終えた。昨季から4人の選手がチームを離れたが、新人選手は4人加わり、4月3日開幕する新シーズンに向け、新たな船出を切った。新キャプテンには、攻守の要である9年目の正木朝貴が就任。今季への意気込みを訊いた。

 

 

 

 

――今季から新たにキャプテンに就任しました。

正木朝貴: 正式に決まったのは昨年12月の中旬ですが、12月頭には秋元(理紗)監督から「キャプテンを考えておいて」と話をいただいていました。

 

――初めて話を聞いた時は?

正木: 少しだけ驚いた部分はありました。昨年の後半戦、キャプテンがいない時期に代行のような役回りも任されていましたこともあったので、全く予想していなかったわけではありませんが……。実際、キャプテンになってみてからは正直、あまりキャプテンらしいことはしていません。年内はみんなでキャプテンを回していくかたちを取りました。それは監督のアドバイスで、みんながリーダーシップを取れるようなかたちにしたかったからです。

 

(写真:慣れ親しんだ14番から今季キャプテン番号10を背負う)

――キャプテンとしての意気込みは?

正木: みんなの個性が出せるようなチームづくりをやっていきたい。ウチはスーパースターがいないチームなので、ひとりひとりの活躍がなければ勝ち切れない。それぞれの良さを出せるように、練習から意識してやっていきたいと思っています。

 

――理想のキャプテン像は?

正木: “こうなりたい”とは、あまり意識していないのですが、メリハリを大事にしたいと思っています。楽しいことがなければ、きつい練習を頑張れない。そういうメリハリを大事にしていければと考えています。理想は姿勢や結果でチームを引っ張っていきたい。勝てるチームを目指していきたいです。

 

――試合中のベンチなどチームの雰囲気の良さを感じます。

正木: 私も雰囲気の良さはチームの魅力だと思っています。地域の人たちに“楽しそう”と思っていただけるようなチームが、元気を与えることができる。明るく、かつ勝てるチームが理想ですね。

 

――昨季は4勝5敗で7位。終盤まで決勝トーナメント進出の可能性を残していました。

正木: チームの実力が上がってきている手応えを得られました。ただ上位チームに勝てなかった課題もありました。

 

――実力が上がったというのは具体的にどの点が?

正木: 昨季は他のチームに比べるとヒット数が少なかった。その分、ホームランで勝った試合が多かった。長打力が上がってきていると感じました。あとはピッチャーが抑えてくれた。ヒットが少なくてもホームラン1本で勝てた試合もありました。

 

(写真:昨季打撃で苦しんだが8個の四死球を選び、出塁率は3割を超えた)

――昨季は主に1、3番を任され、打率1割7厘。前年がリーグ8位タイの3割1分7厘をマークしていただけに、個人としては悔しい1年でしたか?

正木: はい。自分自身で悩んでしまっている部分がありました。前のシーズンが結果出たので、それ以上の成績を目指したのですが、考え過ぎてしまった。元々は打席で考えるタイプではありません。昨季を振り返ってみても、開き直って打った打席で、ホームランを打ちました。それが自分の特長だと気付けました。ただ、シーズン中、出塁は増えたんですが、それ以降もヒットを打つことができなかった。

 

――おっしゃるように出塁率は3割を超えています。打席での落ち着きなど成長を感じられる部分も?

正木: チーム全体としても塁に出ないと点が入らない。ホームランの数は増えてきましたが、チームとしても繋ぐソフトボールがベストだと思っています。出塁することを前提に、そこから得点をしていく。残塁は多かったのですが、出塁率のアップはチームとしての成果が表れている点だと思います。

 

――守ってはセカンドのレギュラーとしてセンターラインを固めています。それまでは守備の印象が強かった。19年に打撃力がアップした要因は?

正木: この年は前年にいた内野手が全員抜けた。“自分が打たないと勝てない”と思っていました。ずっとバッティング好きじゃなかったんですが、“好きにならないとダメだ”と考え、それまで以上に打撃に向き合うようになりました。

 

(写真:「一球の執念を見習いたい」と、MLBパドレスのタティス・ジュニアが理想だという)

――バッティングより守備が好きだった?

正木: そうですね。みんなでアウトを取ることが楽しかった。だからバッティングよりも守備にフォーカスを置いていたと思います。

 

――昨年6月、日本リーグの公式SNSに正木選手が選んだ「#2019年思い出のプレー」がアップされました。その動画も守備(19年9月8日、第6節安城大会、SGHホールディングス戦)でしたね。

正木: あのプレーはゲッツーを取ろうと決めていた守備。バッテリーを含めた内野で共有していたことがうまくいった瞬間だったので選びました。“みんなで戦っている”という感じがするので好きなプレーですね。

 

――守備でのこだわりは?

正木: あまり足が速くないので、配球やバッターとの兼ね合いを意識してポジションを取っています。臨機応変な判断をもう少しスピードを上げていきたい。今季は守備率10割をどうしても達成したいです。

 

――最後に今季の目標を。

正木: 昨季は決勝トーナメントに進めなかったので、そこを見据えて戦いたい。このような状況だからこそ、私たちが勝てば地元に元気や勇気が与えられる。「日本一を目指してやっていこう」とチームで話していいます。

 

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