日本ラグビーフットボール協会は14日、2日後に開幕を予定していたジャパンラグビー・トップリーグ(TL)2021シーズンの開幕日延期、大会フォーマット変更を発表した。当該チーム計44人の新型コロナウイルス感染症陽性者が確認されたことにより、12日には第1節(16日)の2試合(トヨタ自動車ヴェルブリッツvs.サントリーサンゴリアス@トヨタスタジアム、リコーブラックラムズvs.キヤノンイーグルス@駒沢オリンピック公園陸上競技場)の中止を発表済みだった。この日の時点で、新たに3チーム18人の陽性者が確認されたことにより、TLは大会成立要件(各ステージ75%以上の試合を開催)を満たせないと判断し、大会フォーマットの変更を決めた。開幕日は現在2月初旬~中旬を目指し、調整中だという。

 

 ラストイヤーを飾るはずのTLが、コロナ禍で出鼻を挫かれた。現時点でチームの選手・スタッフから計62人(トヨタ自動車13人、サントリー7人、キヤノン24人、NECグリーンロケッツ3人、神戸製鋼コベルコスティーラーズ10人、東芝ブレイブルーパス5人)の新型コロナの陽性者が出たという。濃厚接触者の判定や再検査などを行えば、今後はその数がさらに増えることも考えられる。

 

 この日の午後、急遽行われたオンライン会見で、日本ラグビー協会の岩渕健輔専務理事は「延期はリーグを成立させるための最善の考え方」と語り、こう述べた。

「今シーズンのTL成立を何としても達成したいと思っております。3チームの方々から新たな陽性者が出た。さらに多くの試合の中止を決定する必要がでてまいりました。現状のフォーマットのままではリーグ成立要件の75%(の試合実施)を満たす可能性は非常に低い。フォーマットを変更した上で、選手・関係者に安心、安全を担保したリーグ運営をしていきたい」

 

 続いて、TLの太田治チェアマンは「準備していた次のフォーマットに移る」と説明した。「次のフォーマット」とは、日本ラグビー協会があらかじめ用意していたという「パターンA」である。2ステージ制から1ステージ制への移行になる。当初はTL16チームを2カンファレンスに分けたファーストステージを戦った後、TL16チームとトップチャレンジリーグ(TCL)上位4チームを4プールに振り分け、上位がトーナメントに進出する仕組みだった。今回の変更により、ファーストステージを戦ったTL16チームと、TCLの上位4チームがトーナメントで争うフォーマットとなる見通しだ。

 

 今後は日本ラグビー協会が各チームと協議しながら、再開に向けたガイドラインの強化や対策を練っていく。新フォーマットのリーグ戦は2月初旬から中旬の開幕を目指しているという。「延期を決めたのはリーグを成立させるため。少しでも前進む方法を考えたい」と岩渕専務理事。選手、ファン、関係者の安心、安全を考えれば、延期は仕方がない。未曾有の事態に見舞われた日本ラグビー界。今後も予断を許さない状況が続く。

 

(文/杉浦泰介)