(写真:サトシはRIZIN初参戦の徳留と対戦。王座挑戦への足がかりとなるか)

 2月に入って残念なニュースが流れた。

 東京ドームでの開催が予定されていた格闘技2大イベント『MEGA2021』(2月28日)、『RIZIN.27』(3月14日)がともに中止・延期となったのだ。

 

 緊急事態宣言は3月7日に解除される予定。とはいえ、その後も観客動員規制が続く可能性が高く、上限5000人では、東京ドームで開催するのは難しい。仕方のない措置だと思う。

 

『MEGA2021』が今後どうなるか不明だが、『RIZIN.27』は日時と場所を変えて開催されることが、すでに決まっている。

 

 3月21日(日)、名古屋・日本ガイシホール。

 この大会の対戦カードの一部が今日(2月12日)、東京・目黒雅叙園で開かれた会見で発表された。

 

 主な対戦カードは以下の通り。

▼RIZIN女子スーパーアトム級タイトルマッチ(5分3R/49キロ契約)

 王者・浜崎朱加(AACC)vs.浅倉カンナ(パラエストラ松戸)

▼MMAルール(5分3R/71キロ契約)

 ホベルト・サトシ・ソウザ(ボンサイ柔術)vs.徳留一樹(パラエストラ八王子)

▼MMAルール(5分3R/71キロ契約

 武田光司(BRAVE)vs.久米鷹介(ALIVE)

▼MMAルール(5分3R/120キロ契約)

 スダリオ剛(フリー)vs.宮本和志(和志組)

▼MMAルール(5分3R/66キロ契約)

 クレベル・コイケ(ボンサイ柔術)vs.摩嶋一整(毛利道場)

 

 この他5試合が決定されており、さらに後日、数カードが追加発表される予定だ。

 

 今年の『RIZIN』は全7大会

 

(写真:会見には女子スーパーアトム級女王の浜崎ら名古屋大会に出場するファイターが出席した)

 好カードが揃ったが、私が最も注目しているのはホベルト・サトシ・ソウザvs.徳留一樹。

 日本在住ブラジル人のサトシは、RIZINライト級タイトルへの次期挑戦者として名前が挙がり続けているが、実現には至っていない。

 

 王者トフィック・ムサエフ(アゼルバイジャン)が徴兵され長期間、軍に所属していた上、コロナ禍において来日できない状況が続いていたからだ。そのため今回、1試合挟むこととなった。

 

 記者会見でサトシは次のように話している。

「本当は、この試合はやりたくない。(QUINTETで)一緒のチームだったし、一緒に練習した。でも仕方がない。徳留との試合はムサエフとやる準備。彼といい試合ができたら私はムサエフに勝てる。(徳留に)勝てなければムサエフにも勝てない」

 

 徳留は、パンクラスの元ライト級王者。柔道出身ながら打撃もできるファイターで、UFC、ONEといった海外のメジャー舞台でも闘っており、キャリアは豊富だ。

 総合力でサトシ優位とみるが、徳留が上手く撹乱しペースを乱せば、面白い展開になろう。

 この一戦でサトシが勝利すれば、4月にも王者ムサエフに挑戦する可能性がある。

 

 さて今年のRIZINナンバーシリーズは、7大会が予定されている。3月21日・名古屋大会を皮切りに、4月(関東圏)、5月(大阪)、7月または8月(関東圏)、9月(関東圏)、10月または11月(福岡or沖縄)、そして大晦日決戦。

 この間に、16選手出場の「バンタム級日本グランプリ」と「フェザー級グランプリ」が開催される模様。

 

 今年もRIZINの熱き戦いに期待したい。そして一日も早く平穏な日常が戻り、会場に熱狂が帰ってくることを願う。

 

近藤隆夫(こんどう・たかお)

1967年1月26日、三重県松阪市出身。上智大学文学部在学中から専門誌の記者となる。タイ・インド他アジア諸国を1年余り放浪した後に格闘技専門誌をはじめスポーツ誌の編集長を歴任。91年から2年間、米国で生活。帰国後にスポーツジャーナリストとして独立。格闘技をはじめ野球、バスケットボール、自転車競技等々、幅広いフィールドで精力的に取材・執筆活動を展開する。テレビ、ラジオ等のスポーツ番組でもコメンテーターとして活躍中。著書には『グレイシー一族の真実 ~すべては敬愛するエリオのために~』(文春文庫PLUS)『情熱のサイドスロー ~小林繁物語~』(竹書房)『キミはもっと速く走れる!』『ジャッキー・ロビンソン ~人種差別をのりこえたメジャーリーガー~』『キミも速く走れる!―ヒミツの特訓』(いずれも汐文社)ほか多数。最新刊は『プロレスが死んだ日。』(集英社インターナショナル)。

連絡先=SLAM JAM(03-3912-8857)


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