今年も“夢の球宴”の幕が開く。ファン投票や監督推薦で選ばれたスーパースターたちが、夢の舞台『2007ガリバーオールスターゲーム』に集結。第1戦の20日は東京ドームで、第2戦の21日はフルキャストスタジアム宮城でそれぞれ熱戦が繰り広げられる。
 昨年のオールスターで、パフォーマンスやプレーでファンを楽しませた新庄剛志は引退し、藤川球児(阪神)とのストレート勝負で球場を沸かせた清原和博(オリックス)は負傷でチームから離れている。そして松坂大輔(当時西武)、岩村明憲(当時ヤクルト)は海の向こうへと渡っていった――。しかし、心配ご無用。今年のオールスターも注目選手が目白押しだ。

 まずは第1戦。先発はなんと上原浩治(巨人)。自身の足の具合やチーム状況を考え、現在はクローザーへ転向し、投手陣を支えている。今シーズンはクローザーに専念することを決意をしたものの、やはり本心では先発復帰を願っていることは間違いない。
 昨年10月以来、約9カ月ぶりの先発マウンドを踏む上原。オールスターとはいえ、大舞台で本来の姿をファンや自チームの首脳陣にアピールしたいという気持ちは強いはずだ。
 オリンピックやWBCで日本のエースとして活躍してきた上原の実力は、巨人ファンでなくとも認めるところ。今シーズンは、これが先発・上原の見納めとなる可能性も大きいだけに、見逃せない一戦だ。

 第2戦ではスーパールーキー、田中将大(楽天)が先発する。会場はホームのフルキャストだけに、ファンの後押しも得られそうだ。
 前半戦で7勝をあげ、高卒ルーキーとしては江夏豊と並び、最速タイで100奪三振を記録した。ルーキーイヤーにホームでのオールスターで先発登板とは、やはり実力も運も松坂以来の“怪物”だ。球宴では江夏の記録(9連続奪三振)にどこまで近づくことができるか。遺憾なく怪物ぶりを発揮してもらいたい。

 そして、今年も阪神のリリーフ陣の中核を担う藤川がペナントレース以上の剛速球を見せてくれることだろう。今年注目の対戦者は現在、両リーグトップの31本塁打を放っているベテラン・山崎武司(楽天)だ。藤川は昨年同様、全球ストレート勝負を公言している。今年も力対力の対決にファンは釘付けになるに違いない。

 奇抜なパフォーマンスで楽しませてくれそうなのは、新庄の愛弟子・森本稀哲(日本ハム)だ。新庄が不在となっただけに、昨年以上の意気込みを感じているはず。昨年はピッコロ大魔王、ザビエルに扮装したが、果たして今年はどんなことをやってくれるのか。お祭り気分を味わうには欠かせないポイントだ。

 また、MVPも気になるところだ。昨年は第1戦で先発・松坂から初回、先頭打者として安打を放ち、吉井理人(当時オリックス)からホームランを放った青木宣親(ヤクルト)が、第2戦では4−4の同点で迎えた8回に馬原隆浩(ソフトバンク)から勝ち越し2点タイムリーを放った藤本敦士(阪神)が獲得した。
 意外にもそれほど注目されていなかった選手が獲得することも多く、予想しきれないのがMVP。海の向こうでは通算最多本塁打まであと4本と迫ったバリー・ボンズ(ジャイアンツ)に注目が集まったが、終わってみれば球宴史上初のランニングホームランを成し遂げたイチロー(マリナーズ)が初めて獲得した。日本プロ野球でも何が起きるかわからない。今年のMVPは誰の手に渡るのだろうか。

 オールスターでの通算成績は全パが73勝65敗8分と全セに大きく勝ち越している。しかし、一昨年、昨年と2年連続全セが2戦全勝。さらにここ10年での成績を見ると全セが6勝2敗2分だ。とはいえ、日本シリーズはパのチームが4年連続制覇しているだけに、全パの実力は計り知れず、勝敗の行方は全くわからない。

 果たして、今年のオールスターはどんなゲームになるのか。“夢の球宴”らしく、ファンに野球の醍醐味を味わわせてほしい。