(写真:7アシストを記録した町田。ターンオーバーはわずかに1と安定感が際立った)

 7日、第22回Wリーグ(バスケットボール日本女子リーグ)のプレーオフクォーターファイナルが愛知・スカイホール豊田で行われた。イースタンカンファレンス(東地区)2位の富士通レッドウェーブはウエスタンカンファレンス(西地区)4位のトヨタ紡織サンシャインラビッツを72-57で下した。西地区2位のデンソーアイリスが西地区3位の三菱電機コアラーズを66-54で破った。14日からスタートするセミファイナルでは、富士通が西地区1位のトヨタ自動車アンテロープスと、デンソーが東地区1位のENEOSサンフラワーズと対戦する。

 

◇クォーターファイナル(スカイホール豊田)

 オコエ、18得点12リバウンドのダブルダブル

富士通レッドウェーブ 72-57 トヨタ紡織サンシャインラビッツ

【第1Q】20-12【第2Q】16-19【第3Q】18-15【第4Q】18-11

 

 富士通がセミクォーターファイナルで日立ハイテククーガーズを破り、勢いに乗るトヨタ紡織の挑戦を退けた。
 

(写真:移籍2年目のオコエ。持ち味のスリーポイントでチームに貢献している)

 第1Qは富士通の持ち味が存分に発揮された。 G町田瑠唯、GF篠崎澪を中心としたスピーディーなオフェンス。CFオコエ桃仁花のスリーポイントも決まった。「空いたら打つを意識してきた。入らなくてもめげずに打ち続けています」とオコエ。20-12と8点をリードした。
 
「勢いに乗らせないように、まずは自分たちのディフェンスからリズムを掴もうと思った」(町田)。幸先良いスタートを切ったが、第2QはGF東藤なな子の活躍などで5点差に詰められ、第3Qでは一時同点に追いつかれた。
 
 それでもオコエ、町田、CF田中真美子が決め、F内尾聡菜はスリーポイントを成功。8点のリードで第4Qを迎えた。エース篠崎が決定力を発揮し、内尾がスリーポイントを3本成功させるなど追いすがるトヨタ紡織を一気に突き放した。72-57でタイムアップ。富士通がセミファイナル進出を決めた。
 

(写真:20歳の東藤<8>は両チーム最多の20得点を挙げるなど奮闘)

 スタッツを見ると、 トヨタ紡織の45リバウンドに対し、富士通は43と奮闘した。特にオコエは、12リバウンド5ブロックとインサイドで強さを見せた。得意のスリーポイントは4本を成功させ、チーム最多18得点を挙げた。町田は12得点、篠崎は13得点と3本柱がきっちりと仕事をこなした。
 
 リバウンドで奮闘し、速い攻撃も生きた。富士通の良さが出た試合だったが、セミファイナルは特にリバウンドが強いトヨタ自動車が相手だ。1試合平均47.5リバウンドは、リーグNo.1。富士通が苦手とする制空権を握られる可能性は高いが、その差を最小限に抑え、シュートの確実性を上げることがカギとなるだろう。

 

 Wエース髙田&本川、揃って19得点

デンソーアイリス 66-54 三菱電機コアラーズ

【第1Q】17-19【第2Q】15-4【第3Q】13-18【第4Q】21-13

 

(写真:日本代表に名を連ねる高田<8>と本川<6>の活躍でセミファイナル進出を決めた)

 西地区同士の対決となったデンソーと三菱電機の試合は、レギュラーシーズンの順位通りの結果となった。デンソーの二枚看板であるC髙田真希、F本川紗奈生の活躍が光った。
 
 順位はデンソーがひとつ上でも今季の対戦成績は2勝2敗だ。本川はこう語った。
三菱の選手はディフェンスもオフェンスもタフで良い選手が揃っている。自分たちは気迫で負けないようにアグレッシブにやろうという気持ちで入りました」
 
 第1Qは17-19と2点のビハインドを負ったが、第2Qに本領発揮。リーグ最少の平均失点(62.5)を誇るデンソーが鉄壁の守備を見せた。ハーフタイムまでの約7分間で1点も与えず、わずか4点に抑えた。
 
 32-23とリードして迎えた後半。第3Qは点差を詰められたものの、第4QにはG笠置晴菜のスリーポイントなどで突き放した。最後まで相手の攻撃陣を勢い付かせることなく、終わってみれば66-54の12点差勝利。堅い守りで三菱電機の反撃を封じ込めた。
 

(写真:髙田<赤8>は1ブロックショットの他、4スティールも記録した)

「得点とリバウンドが自分の仕事」。その言葉通り、髙田はチーム最多の19得点13リバウンドのダブルダブルを記録した。19得点7リバウンドの本川と共にチームを引っ張った。「(コートに)出ていく選手が自分の役割を分かって仕事ができた。スタートで出る5人もそうですが、それ以外のチーム全員で勝ち取った勝利だと思います」(髙田)。
 
 セミファイナルは皇后杯準決勝で敗れたENEOSと対戦する。「(皇后杯では)悔しい負け方をしている。やっとここで戦える」と本川。髙田は「どこが相手でも自分たちのバスケットをすることが大事」と語った。
 

(文/杉浦泰介、写真/©Wリーグ)