(写真:例年特設ステージを設置し華やかな雰囲気で行われる。今大会はコロナ禍のため、無観客開催)

 3回目の「BS11CUP全日本eスポーツ学生選手権大会」は今年新たな形式でスタートした。過去2大会はサッカーゲーム『ウイニングイレブン』(ウイイレ)シリーズで学生No.1を決めてきたが、今回はウイイレに加え、『eBASEBALL パワフルプロ野球2020』(パワプロ)も行われる。ウイイレは8名、パワプロは4名が進出した決勝大会は3月21日、BS11本社にて開催される。大会皆勤賞で初優勝を狙う山田大智(法政大3年)に意気込みを訊いた。

 

――今大会はコロナ禍での開催、予選はオンラインのみでした。2018年の第1回大会は10月、19年の第2回大会は12月開催でしたが、今回は3月に決勝大会が行われます。

山田大智: 今まではウイイレ最新版の発売日が毎年秋でした。ゲームの仕様が変更されていて、慣れないままに大会が始まっていました。今大会は3月ということで、その仕様に慣れた状態での開催になり、これまでとは違った大会になるのではないでしょうか。ただ全選手同じ条件なので有利不利はないと思っています。

 

――2月に行われたオンライン予選では79名が2つのグループに分かれ、トーナメントで争われました。決勝大会に進めるのは各グループ4位まででした。

山田: 初戦は2、3カ月ぶりの大会出場ということもあり、難しい試合になったと記憶しています。

 

(写真:初参戦から3年目を迎える。「大会に出たことで自分の大学生活は変わりました」 ⓒBS11)

――スコアは1対0の接戦でした。

山田: 個人的にはオフライン大会を中心に出ていて、会場の雰囲気などに慣れている面があるからです。どうしてもオンライン大会は相手の顔が見えませんし、いつものオンラインで練習をしている時の延長になってしまう。その結果、“大会モード”にならず気持ちをつくり切れませんでした。

 

――2回戦は1対0、準々決勝は2対1で勝利し、決勝大会進出を決めました。

山田: 1回戦に勝ってすごくホッとしました。そこからは勢いに乗ることができたと思います。準々決勝は、仲の良い宍倉直樹選手(二松学舎大4年)が勝ち上がってくると予想していたのですが、初戦で負けてしまった。彼を4対1で倒した向井渚選手(国士舘大3年)と対戦することになり、少し不安もありました。先制しながら後半に追いつかれ、PK戦突入も頭を過ぎりましたが、なんとか勝ち切れて良かったです。

 

――第1回大会の準決勝、第2回大会の決勝とPK戦で敗退しました。PKに対する苦手意識は?

山田: PKはできればやりたくないですね。後半の終盤で同点の場合は、ガンガン攻めを仕掛けます。

 

 空中戦が武器

 

――BS11CUPは大学生・大学院生・専門学校生を対象とした大会です。山田選手は決勝大会に3大会連続出場と皆勤賞です。

山田: 第1回大会は自分がウイイレで初めて出場した大会でした。ベスト4という好成績を残すことができ、自信を持つことができました。第2回大会は優勝を目指したものの、準優勝に終わり悔しい思いをしました。それもあって自分の中では1、2位を争う思い入れの強い大会ですね。

 

――同じく皆勤賞の柴水晶選手(関東学院大3年)とはBグループトーナメント決勝で対戦し、0対5と完敗でした。

山田: 第2回大会の準決勝で対戦(2対1で勝利)しましたし、“むちゃくちゃ強い”という印象を持っています。オンライン予選決勝で対戦してみて、“仕上がっているな”と感じましたね。

 

――決勝大会に向けて手の内を隠した部分はありますか?

山田: それはありますね。自分は奇襲を仕掛けるなど、クセの強い戦い方をするのですが、そこはあえて見せないように正攻法で戦いました。負けて悔しい思いもありますが、すべてを出し切ってない分、決勝大会で対戦できたら楽しみですね。

 

(写真:使用チームはセリエAの強豪ユベントスを選択。選手の配置や起用法にも注目だ ⓒBS11)

――自らのプレイスタイルを分析するなら?

山田: 自分が得意なのは長身選手を使った空中戦です。競り合いが得意なので、セットプレーで得点につなげる。ヘディングは(コントローラーの)スティック入力が重要で、その微調整が得意なんです。空中戦の強さを注目して見ていただけたらなと思います。

 

――決勝大会の模様は配信・中継されます。注目度は高くなりそうです。

山田: テレビ中継がある中での勝利は格別です。過去2大会は周りの友人からの反響もありました。普段はeスポーツに興味がない友人も観てくれたのでうれしかったです。

 

――最後に大会に向けての意気込みを。

山田: 第1回はベスト4、第2回は準優勝。いずれもPK負けという悔しい終わり方でした。今回こそは絶対に優勝したいと思っています。

 

 初代王者は誰の手に!?

 

 今大会が初タイトルとなるパワプロの部は、31名のオンライン予選を勝ち抜いた4名が決勝大会に臨む。東京工科大学3年の堀池大樹は、4強に残った中で唯一のアマチュアプレイヤーだ。予選は4位通過。“下克上”を目指す堀池に話を訊いた。

 

――過去2大会はウイイレのみでしたが、今大会からパワプロが加わりました。

堀池大樹: パワプロ大会の数は多くないので、うれしくて、すぐ参加を決めました。

 

――2月20日に行われたオンライン予選を振り返っていただきます。初戦は不戦勝でした。

堀池: 棄権した香川真輝選手(大阪産業大4年)はプロプレイヤーだったので、正直ラッキーだと思いましたね。気力も消耗せずに次へ進めたのでプラスに捉えていました。

 

――大会初戦となった2回戦は?

堀池: かなり緊張しましたね。対戦相手の野口智輝選手(京都大4年)は勝って勢いに乗っている。パワプロのレートがSランク(最高位)という強い方と知っていました。3対0と自分の勝ち方ができ、次の試合へと乗っていけたと思います。

 

(写真:昨年12月の鹿児島国体では東京都代表として出場。一般の部3位に入った実力者)

――準々決勝は谷山諒選手(近畿大2年)と対戦し、ここで勝てば決勝大会に進める大一番でした。

堀池: 谷山選手もSランクという強敵。最終回(5回)2死までリードしながらホームランを打たれ、追いつかれてしまいました。タイブレークの末、なんとか勝つことができました。

 

――準決勝で対戦した渡部隼人選手(松山大4年)は「eBASEBALLプロリーグ」に参戦しているプロプレイヤーです。

堀池: オンラインではあまり対戦したことがありませんでしたが、彼が出場した大会の映像を見返していたので、どんなプレイスタイルかは頭に入っていました。しかし、ここ一番で打たれてしまい、1対2で敗れました。

 

――プロ相手に善戦できた手応えと、負けた悔しさはどちらが大きかったですか?

堀池: 勝てる可能性があった試合だったので、負けた悔しさの方が大きかったですね。

 

 パワプロは「メンタルゲーム」

 

――3位決定戦は3対4で敗れ、4位での通過とりました。

堀池: 山本慧選手(東海大4年)はパワプロを始めて半年たらずでプロになった選手なんです。センスの塊。かなり強い選手です。

 

――堀池選手は決勝大会進出4人中唯一のアマチュアプレイヤー。堀池選手が予選で負けた渡部選手、山本選手がいます。

堀池: まわりはプロしかいないので、自分の中で挑戦者という位置付けの方が気持ちを整理しやすい。失うものは相手の方が大きいですからね。

 

――堀池選手の得意なスタイルは?

堀池: 最近、気付いたのはミート打ちが巧いこと。自分では意識していなかったのですが、対戦した方々に「ミート打ちが嫌だった」と言われることが多かった。

 

――性格的にはピンチやチャンスの場面でスイッチが入りますか?

堀池: 打たれている時は頭がカッカしちゃうタイプですね。そのまま連打を食らってしまう。パワプロは気持ちの切り替えが重要なゲームで、「メンタルゲーム」とも言われています。その点、気持ちの切り替えが苦手なことは自分の課題だと思っています。

 

――決勝大会の模様は配信・中継されます。

堀池: プロリーグに解説として参加していたので、プレイを見てもらえることが楽しみです。解説で偉そうに語っておいて、下手ではカッコがつきませんからね。プレイヤーとして魅せたいですし、勝負にもこだわりたい。

 

――いずれはプロへという思いもありますか?

堀池: はい。昨年行われたドラフト会議で候補には入っていましたが、選ばれませんでした。その日はかなり落ち込みましたね。今年のドラフトで指名されるためにはいろいろなところでタイトルを獲得し、実績を残すことが必要です。今大会は、そのいいアピールになるので“下剋上”を狙っています。

 

 今大会は、「BS11オンデマンド」でのネットLIVE配信に加え、準決勝以降はゴールデンタイムに2時間生中継します。ネットLIVE配信は3月21日(日)13時から、全国放送は同日19時からスタート。学生プレイヤーたちの華麗なテクニックや高度な戦術にも注目してください。緊張感溢れる白熱のゲームバトルをお楽しみに!


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