「若手よ出てこい!」古巣・広島へ”元4番”からエール
セガサミー野球部はJABA四国大会など公式戦の真っ最中です。JABA大会は京都、九州と続きますが、今回は四国大会を振り返ってみましょう。
3人目の軸、ようやく覚醒!
4月4日に明治大との交流戦を5対3で勝利したセガサミー野球部は8日、JR九州とJABA四国大会初戦を戦いました。予選リーグはJR九州、ツネイシブルーパイレーツ、四国銀行と同組でした。JR九州は私が監督になって初めて戦う相手ですし、どの大会も初戦の入りというのは難しいものです。そこを草海光貴、陶久亮太のリレーで2失点に抑え、打線も根岸晃太郎、中川智裕が2安打ずつと好調で10得点を奪い勝利しました。
社会人野球の大会は特に上に進むほど連戦になるので、先発投手は3人必要です。そこで2戦目のツネイシBP戦は2年目の横山楓を先発させました。横山は6回を投げて1失点の9奪三振。去年から草海、森井絃斗に続く"3人目の先発"が課題でしたが、ようやく横山が出てきてくれたな、という感じです。今後も彼のピッチングに期待しています。予選3戦目の四国銀行戦は森井が先発し、6回を無得点に抑え、打線も北川智也、中川、根岸が猛打賞で14対0、7回コールド勝ちでした。
決勝トーナメントの相手は東芝。予選からセガサミー打線は好調で、つながりもよく機能していましたが、東芝の先発・吉村貢司郎の速いストレートに手こずりなかなか得点を奪えず。逆にこちらは草海が初回に1点を失い、ゲームの入りで主導権を握れずに、そのまま中盤、終盤へ。6回に2点、8回に1点をとって1点差に詰め寄りましたが、あと1本が出ずに3対4と敗戦しました。相手の吉村が要所で踏ん張ったとも言えますが、どうやってチャンスを確実にものにしていくか。それが課題となった1戦でしたね。
相手が強くなればなるほど、ピッチャーはストライク率を上げ、四球を出さずに、先に点を与えないようにする。野手は守備でミスをせず、攻撃ではしっかりとチャンスをものにする。当たり前と言えば当たり前のことですが、それをどんな試合でもできるかどうかが重要になってきます。
チームは昨年、都市対抗3位になったことで自信を持って戦っています。監督の私から見ても素晴らしいチームになるんじゃないかと思っていますので、この後のJABA大会、日本選手権、そして秋の大目標である都市対抗に向け、一層レベルアップしてもらいたいものです。
さて、たまにはプロ野球の話もしておきましょうか。阪神が好調ですが、やはり外国人選手が投打ともに揃っているのが大きいですね。あとは新人・佐藤輝明もパワフルなバッティングで、久しぶりに"見たい"と思わせるチームになっています。
一方、古巣である広島は助っ人ケビン・クロンが開幕から打てず、そこがつまずきの一因でした。さらに先発陣では大瀬良大地が長期離脱。投打の軸を欠いた状態では苦しい戦いも当然でした。そんな中で昨年、都市対抗でセガサミーと戦ったトヨタ自動車出身の栗林良吏がクローザーとして奮闘しています。
クロンにも当たりが出てきたし、坂倉将吾、羽月隆太郎と若手も伸びてきました。まだ開幕から1カ月。広島も含め巨人、横浜DeNAと各球団の外国人選手が揃い、このあとどうなるのか楽しみです。
頼みの外国人選手が不調なら日本人選手がそれをカバーするんですが、91年に広島が優勝したときにも外国人の不調に悩まされした。そのときは私が4番を務めましたが、それを決めたのは当時の監督である山本浩二さんです。法大の大先輩ですが、今でも「よくまあ4番で使ったな」と思っています(笑)。あの年はロッド・アレンと私の調子の良い方を4番にするという起用法で、たしか80試合で4番を打ちました。
特に4番だからと意識することはなかったんですが、シーズン後半になるとホームラン数が少ないことを「これ4番の数字か?」と気にするようになって、それで大きいのを狙うようになり、打率を落としました。あとレギュラーとして1シーズン出場するには体力も足りなかったんでしょうね。
でもあの年、4番を打ったのは良い思い出ですよ。なんといっても優勝を決めた阪神とのダブルヘッダーの2試合目(10月13日・広島)。初回、野田浩司の抜けたフォークを叩いて先制タイムリーを放ち、その1点が決勝点となって優勝が決まりました。山本監督になって初の優勝ですから、そりゃあ嬉しかったですね。当時は「決勝点はこのオレの一打よ」と言う感じでしたが、その1点を守り抜いた先発の佐々岡真司監督、そして抑えの大野豊さんの力投のおかけだと感謝しております。
プロで4番を打ったのは前年(90年)が初めてでした。7月31日、平塚球場で行われた大洋戦。事前に監督やコーチから言われることもなく、いきなり「4番・ライト、西田」ですから、「エーッ!」とビックリしましたよ。でも、この試合の私、すごかった。
なんと3ランを2本放ち6打点。さらに満塁の場面で打席が回ってきて、ここで一発が出れば1試合10打点でセ・リーグ記録になる。「いけ、いけ」とベンチも大騒ぎでしたよ。「よっしゃ、やったるでー」と思っていましたが、でも結果は犠牲フライでした。あそこで満塁ホームランならカッコ良かったんですが、犠飛というのが私らしいですね(笑)。
今の広島に話を戻せば、田中広輔の不調が気になります。佐々岡監督は調子が上がるまで打順を下げたりしながら、スタメンで使っていました。外から見ていると「今の状態では無理だから1回休ませろ」というのはわかるんですが、実際に指揮を執っていると、これが難しい。チームが悪いときに不調の選手を代えるのは簡単なんですが、チームが良いときにはなかなか代えにくいものです。22日の試合からショートには小園海斗がスタメンで入りました。佐々岡監督も考えた末の決断だったのでしょう。
広島の再浮上のためには菊池涼介、鈴木誠也といったV戦士に続く、若手の底上げが何よりも欠かせません。古巣へエールを送るとすれば、若手よ出てこい! に尽きます。ペナントレースは約30試合が終わったところ。まだまだこれからですから、赤ヘル戦士の奮起に期待しています。そしてプロ野球とともに、セガサミー野球部をはじめとした社会人野球にも是非、注目してみてください。良い選手がたくさんいますから。では、セガサミー野球部の応援をよろしくお願いします!
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