(写真:現役最後のシーズンでチームの優勝に貢献し、MVPを獲得した福岡 ©JRFU)

 24日、ジャパンラグビートップリーグ2021年間表彰式がオンラインで開催され、MVPには今季限りの引退を表明しているWTB福岡堅樹(パナソニック ワイルドナイツ)が輝いた。新人賞にはWTB竹山晃暉(パナソニック ワイルドナイツ)とFB金秀隆(クボタスピアーズ)が選ばれた。

 

 最後の花道には続きがあった。パナソニックの二冠に貢献した福岡は、ベスト15とMVPを受賞。現役最後のシーズンは、プレーオフトーナメントを合わせると10試合14トライと圧巻のパフォーマンスを披露した。引退を惜しむ声が後を絶たないが、本人は「『ラグビー人生をやり切った』と心から言える」と後ろ髪を引かれる思いはないようだ。

 

 春から東海大学医学部との“二足の草鞋”を履いていた。今後は医学生に専念する意向を示した。完全燃焼の28歳は「振り返ってみると、素晴らしい仲間たち、環境に恵まれていたなと。運を持っていた。挫折したり、選択を変えることもありましが、その中で自分が後悔するような選択はひとつもない」と胸を張る。

 

「今季一番うれしかったトライは?」と問われると、福岡は「優劣が付けられない」と答えた。

「幸せなシーズンだった。ひとつに決められない。1試合1試合のすべてが幸せなラグビー人生のピース」。颯爽と駆け抜けたラストシーズンを終え、表情は晴れやかだった。

 

(写真:昨季が中止に終わったことから新人賞は竹山<左>と金の2人が受賞 ©JRFU)

 最後のTL新人賞は2020年度のルーキーと、実質2年目となる2019年度の選手から1人ずつ選ばれた。クボタの快進撃を担ったルーキー金と、パナソニックの王座奪還に貢献した竹山だ。ともにランに長けたプレーヤーで、いずれもリーグ戦は全7試合に出場し、金は2トライ、竹山は6トライを挙げた。

 

 ジャパンの登竜門的な位置付けにある新人賞。過去にはPR稲垣啓太(パナソニック ワイルドナイツ)、No.8姫野和樹(トヨタ自動車ヴェルブリッツ)らが受賞してきた。朝鮮大学出身の金が「100%日本代表を目指したい。まだ身体が細く、スピードもトップに比べると劣っている。そこに毎日フォーカスして練習していきたい」と意気込めば、竹山も続いた。

「選手としてのゴールは代表に入り、ラグビーの良さを伝えること。明日は今日より成長していくという気持ちで代表にフォーカスしていきたい」

 

 18年の歴史に幕を閉じたTL。来年よりスタートする新リーグにバトンを渡す。TLの太田治チェアマンは「TLの伝統を継承し、進めていきたい」と語った。新リーグは「世界最高峰」を目標に掲げている。それが“看板倒れ”に終わらぬよう改革に期待したい。

 

(文/杉浦泰介)

 

 主な受賞チーム、選手は次の通り。※2020年大会は中止のため、カウント対象外

 

(写真:最後のTLで頂点に立ったパナソニック。主将の坂手<左>は入団後初の優勝 ©JRFU)

【優勝】

パナソニック ワイルドナイツ 4季ぶり5回目

【準優勝】

サントリーサンゴリアス

【3位】

クボタスピアーズ

トヨタ自動車ヴェルブリッツ

【フェアプレーチーム賞】

パナソニック ワイルドナイツ 2季ぶり8回目

 

【MVP】

福岡堅樹(パナソニック ワイルドナイツ) 初

【新人賞】

竹山晃暉(パナソニック ワイルドナイツ)

金秀隆(クボタスピアーズ)

 

【最多トライゲッター】

テビタ・リー(サントリーサンゴリアス) 10トライ 初

マロ・ツイタマ(ヤマハ発動機ジュビロ) 10トライ 初

(写真:今季限りのプレーだったが、大きなインパクトを残したバレット ©JRFU)

【得点王】

ボーデン・バレット(サントリーサンゴリアス) 128得点(6T/37G/8PG) 初

【ベストキッカー】

田村優(キヤノンイーグルス) 87.0% 初

 

【マニフレックス賞】※最優秀レフリー

久保修平 初

 

【ベストフィフティーン】

PR1 稲垣啓太(パナソニック ワイルドナイツ) 7季連続7回目

HO マルコム・マークス(クボタスピアーズ) 初

PR3 垣永真之介(サントリーサンゴリアス) 初

LO ブロディ・レタリック(神戸製鋼コベルコスティーラーズ) 初

LO ルアン・ボタ(クボタスピアーズ) 初

FL ベン・ガンター(パナソニック ワイルドナイツ) 初

FL ピーター・“ラピース”・ラブスカフニ(クボタスピアーズ) 初

No.8 クワッガ・スミス(ヤマハ発動機ジュビロ) 2季連続2回目

SH TJ・ペレナラ(NTTドコモレッドハリケーンズ) 初

SO ボーデン・バレット(サントリーサンゴリアス) 初

WTB 福岡堅樹(パナソニック ワイルドナイツ) 3季連続3回目

(写真:トライ王とベスト15に加え、Optaも獲得したテビタ・リー ©JRFU)

WTB テビタ・リー(サントリーサンゴリアス) 初

CTB ディラン・ライリー(パナソニック ワイルドナイツ) 初

CTB マイケル・リトル(三菱重工相模原ダイナボアーズ) 初

FB ウィリー・ルルー(トヨタ自動車ヴェルブリッツ) 初

 

【特別賞】

平原大敬(神戸製鋼コベルコスティーラーズ) ※リーグ戦通算100試合出場

トーマス優デーリックデニイ(三菱重工相模原ダイナボアーズ) ※リーグ戦通算100試合出場

ニリ・ラトゥ(日野レッドドルフィンズ) ※リーグ戦通算100試合出場

滝澤直(NECグリーンロケッツ) ※リーグ戦通算100試合出場

橋本大輝(神戸製鋼コベルコスティーラーズ) ※リーグ戦通算100試合出場

 

小野澤宏時氏(サントリーサンゴリアス・キヤノンイーグルスOB)※リーグ戦通算最多トライ(109)

五郎丸歩(ヤマハ発動機ジュビロ)※リーグ戦通算最多得点(1282)

山村亮(ヤマハ発動機ジュビロ)※リーグ戦通算最多出場(173)