(写真:1試合限定ではあるが、再び指揮を執る大久保HC)

 日本ラグビーフットボール協会は31日、「リボビタンDチャレンジカップ2021」(6月12日、静岡・エコパスタジアム)で日本代表(ジャパン)と対戦するサンウルブズのメンバー15名を発表した。今後、大分で合宿を行っているジャパンから数名が加わる予定。HCはサンウルブズのスーパーラグビー(SR)ラストシーズンの指揮を執った大久保直弥氏(ヤマハ発動機ジュビロHC)が務める。

 

 昨年、惜しまれつつ解散したサンウルブズが1年ぶりに“再結成”する。ジャパンの強化試合の相手に指名され、期間限定の復活だ。藤井雄一郎ナショナルチームディレクター(NTD)は「国内で試合を組むのが難しい状況。なんとか(ブリティッシュ&アイリッシュ・)ライオンズ戦(6月26日、スコットランド)を前に国内で最強のクラブ、サンウルブズを再結成してもらう」と理由を語った。大久保HCの右腕には、昨年に引き続き、沢木敬介氏(キヤノンイーグルス監督)がコーチング・コーディネーター、田村義和氏がスクラムコーチを務める。そのほかのスタッフ陣もヤマハ、キヤノン勢を中心に組閣された。

 

 サンウルブズは6月12日の試合に向け、6月6日から合宿を行う。大久保HCは約1週間で、急造チームをまとめ上げることとなる。

「時間的な制約はありますが、サンウルブズは元々、地球を3周するようなチームでした。時間がない中で何をすべきかをクリアにし、タフな環境でも戦い続けてきた。そのアイデンティティを持って日本代表にチャレンジしていきたいと思っています」

 

 この日発表されたサンウルブズのメンバーは15名。うち9名が4月に発表された日本代表候補54名からの選出だ。そこにサンウルブズでプレーしてきたFLエドワード・カーク(キヤノンイーグルス)、FL布巻峻介(パナソニック ワイルドナイツ)、SO山沢拓也(パナソニック ワイルドナイツ)が加わった。キャプテンはカークが務める。大久保HCは「彼はミスターサンウルブズ。タフで経験豊かな選手なので、若手の力を引き出してくれることに期待している」と絶大な信頼を寄せる。

 

 試合の登録メンバーには、あと8名が必要となる。基本的には現在、大分で代表合宿を行っているメンバーのうち、ジャパンの登録メンバーに入らなかった者が招集される見通しだ。「(ジャパンから)漏れた選手という位置付けではなく、次の選手。国内で最も強度の高いチームができる」と藤井NTD。必要なポジション次第で、合宿に参加中のメンバー以外から追加招集もあり得そうだ。

 

 昨年はコロナ禍で代表活動を行えなかったため、久々の代表戦だ。日本協会としても“親善試合”で終えるつもりはない。藤井NTDは「決してイベントの試合ではなく強化試合」と言い切る。2023年W杯フランス大会に向けたサバイバルレースは始まっている。サンウルブズで出場する選手にとってもジェイミー・ジョセフHCをはじめとした首脳陣への貴重なアピールの場となる。「(代表メンバー以外の選手も)11月のメンバー入りのアピールになるんじゃないかと思っている」(藤井NTD)。ジャパンvs.サンウルブズの静岡決戦に注目が集まる。

 

(文/杉浦泰介)

 

【サンウルブズメンバー15名】

FW

北川賢吾(クボタスピアーズ)

三浦昌悟(トヨタ自動車ヴェルブリッツ)

彦坂圭克(トヨタ自動車ヴェルブリッツ)

秋山大地(トヨタ自動車ヴェルブリッツ)

長谷川崚太(パナソニック ワイルドナイツ)

エドワード・カーク(キヤノンイーグルス)

布巻峻介(パナソニック ワイルドナイツ)

BK

中嶋大希(NECグリーンロケッツ)

前田土芽(NTTコミュニケーションズシャイニングアークス)

山沢拓也(パナソニック ワイルドナイツ)

ホセア・サウマキ(キヤノンイーグルス)

梶村祐介(サントリーサンゴリアス)

ディランライリー(パナソニック ワイルドナイツ)

尾﨑晟也(サントリーサンゴリアス)

野口竜司(パナソニック ワイルドナイツ)