(写真:途中出場で2トライを挙げた堀越<中央> ©JRFU)

 12日、ラグビー日本代表(ジャパン)の強化試合「リポビタンDチャレンジカップ2021」が静岡・エコパスタジアムで行われ、ジャパンがサンウルブズを32-17で下した。試合はサンウルブズが前半20分に先制。ジャパンは31分、SO田村優がPGを決めて3点を返した。前半は3-14とジャパンがリードを許したが、後半は4トライを挙げるなどして試合を逆転勝ち。26日にスコットランド・エディンバラでブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズと対戦する。

 

 1年8カ月ぶりの実戦を白星で飾った。ジャパンは2019年W杯日本大会準々決勝南アフリカ代表戦以来の試合。スタメンはキャプテンのFLリーチ・マイケル、田村などW杯日本大会スコッドが13名を占めた。対戦相手は昨年限りで解散となり、1年ぶりに再編成となったサンウルブズだ。

 

 序盤はサンウルブズが優勢だった。「サンウルブズは仕掛けてきた。パッション、貪欲さがあった」とジェイミー・ジョセフHC。サンウルブズには9名のジャパンメンバーが加わっており、そのうちの7名がスタメンに名を連ねた。9名以外の選手も代表へのモチベーションを持って臨んだはずだ。

 

(写真:ガンター<中央>などジャパンのメンバーも加わっていたサンウルブズ ©JRFU)

「出足の一歩が遅れた」とHO坂手淳史。ジャパンはブレイクダウンからプレッシャーを掛けられ、ゲームプランを実行できなかったようだ。スクラムでも押される場面が目立った。19分、左サイドでボールを持ったサンウルブズのSO山沢拓也に裏のスペースに蹴り込まれた。ボールがルーズとなったところを最後はSH荒井康植にトライを奪われた。山沢にコンバージョンキックを決められ、0-7とリードを許した。

 

 31分に田村のPGで3-7としたものの、終了間際にトライを奪われた。3-14で試合を折り返した。ロッカールームに戻る前に円陣を組んだ。リーチは今年から新たな取り組みについて「前半の悪いプレーを気にせずスタートしたかった。“皆で同じページを見よう”と声をかけた」と語った。

 

(写真:「(齋藤)直人がいいところに放ってくれた。ごっつぁんでした」とトライの中村 ©JRFU)

 後半開始から3人を代え、11分にはハーフ団を入れ替えた。すると20分、ラインアウトでモールを組んで押し込んだ。途中出場のHO堀越康介がねじ込んでトライ。田村に代わって入ったSO松田力也がコンバージョンキックを成功し、10-14と迫ると25分には、敵陣深くに攻め込んだ。最後はSH齋藤直人のパスを受けたCTB中村亮土が敵2人の間に割って入るように逆転トライ。松田のコンバージョンキックで17-14と3点のリードを奪った。

 

 PGで17-17に追いつかれたが、32分にFLテビタ・タタフ、40分には堀越がトライを挙げるなど32-17でジャパンが逆転勝ちを収めた。「前半はパンチを食らった」と評したジョセフHCは「後半は改善できた」と述べた。入りは悪かったが、後半は交代選手の活躍などで試合をひっくり返した。次戦はライオンズ。リーチは「北半球でベストのチーム。いい準備をして、皆さんにいい知らせを」と1万8434人が集まったファンの前で誓った。

 

(文/杉浦泰介)