広島からFA宣言した黒田博樹投手が16日、ロサンゼルス・ドジャースへの移籍に合意した。3年契約で総額3540万ドル(約38億8000万円)。これで来季の日本人メジャーリーガーは福留孝介(カブス)ら5人の新人を加え、15名となる。
 黒田は96年ドラフト2位で専修大からカープに入団。2001年に12勝をあげると、3年連続で2ケタ勝利をあげ、セ・リーグを代表する右腕に成長した。05年には最多勝、06年にはリーグ17年ぶりの防御率1点台(1.85)で最優秀防御率のタイトルを手にしている。日本での通算成績は103勝89敗1セーブ、防御率3.69、1257奪三振。

 昨オフ、黒田はFA権を行使せず、4年総額12億円で広島と新たに契約を結んでいた。ただし、契約期間中でもメジャーリーグ挑戦を容認する条項が盛り込まれており、今回のFA移籍となった。

 日本で103勝をあげた右腕に対しては、ドジャースのほかマリナーズ、ダイヤモンドバックス、ロイヤルズなどが獲得に乗り出していた。特にマリナーズはジョン・マクラーレン監督らが来日して交渉にあたり、ドジャースを上回る好条件を提示していた。しかし、気候が温暖で日本人も多く居住するといった環境面がドジャース選択の決め手となったようだ。

 それでも1年あたりの年俸は単純計算すれば約13億円で、日本人ルーキー投手としては昨オフ、レッドソックスにポスティング移籍した松坂大輔(約7億円)を上回り、最高額となる。今オフは福留がカブスに年平均で約13億2000万円(4年総額53億3000万円)の大型契約を交わしており、日本人プレーヤーに対する評価は“バブル”の様相を呈している。

 ドジャースは今季、ナ・リーグ西地区4位に沈み、巻き返しをはかる。ヤンキースからジョー・トーリ新監督を招き、先発陣の補強を目指していた。過去に野茂英雄投手、石井一久投手、中村紀洋内野手がプレーしており、日本にもなじみの深いチームだ。現在は押しも押されぬクローザーとなった斎藤隆投手が在籍している。黒田が抑え、斎藤が締めるといった日本人リレーも来季のみどころになりそうだ。
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