メジャーリーグの薬物使用の実態を調査した報告書が現地時間13日、公表された。報告書の中では、薬物使用をめぐる偽証罪で起訴されているバリー・ボンズ(元ジャイアンツ)をはじめ、通算354勝右腕のロジャー・クレメンス(ヤンキース)ら、約80人の現役選手、元選手の薬物疑惑が指摘されている。
 報告をまとめた責任者のジョージ・ミッチェル元上院議員によると、薬物使用の疑いがある選手はメジャーリーグ全30球団に渡っているという。メジャーリーグで薬物違反の罰則が適用されたのは04年からと遅く、長年、筋肉増強剤ステロイドなどを選手が服用しているとの噂が絶えなかった。

 薬物使用選手が実名で報告されたのは今回が初めて。米球界が広く薬物に汚染されていた実態があらためて浮き彫りになった。

 また、報告書では日本で活躍している選手の名前も挙がった。西武を今季限りで自由契約になり、オリックスへの移籍交渉に入っているアレックス・カブレラ、阪神の強力リリーフ陣「JFK」の一角を占めるジェフ・ウイリアムス、来季ヤクルトの主軸として期待されるアダム・リグス――。さらにオリックスなどで4年間プレー経験のあるクリス・ドネルス(登録名C・D)、元千葉ロッテのマット・フランコ、今季オリックスに在籍したチャド・アレンなどもリストに名前が登場している。

 特にウィリアムス、リグスは薬物購入に使った小切手の日付が来日後になっていた。日本で薬物に手を染めていた可能性が浮上し、今後はメジャーのみならず、NPBも巻き込んだ騒動に発展しそうだ。
 今回、実名公表された主な選手は以下の通り。

(MLB現役選手)
ロジャー・クレメンス(ヤンキース)
 6勝6敗、防御率4.18
バリー・ボンズ(前ジャイアンツ)
 打率.276、本塁打28、打点66
ゲリー・シェフィールド(タイガース)
 打率.265、本塁打25、打点75
ジェーソン・ジアンビ(ヤンキース)
 打率.236、本塁打14、打点39
アンディ・ペティット(ヤンキース)
 15勝9敗、防御率4.05
ポール・ロデューカ(ナショナルズ)
 打率.272、本塁打9、打点54
ミケル・テハダ(アストロズ)
 打率.296、本塁打18、打点81
エリク・ガニエ(ブルワーズ)
 4勝2敗16S、防御率3.81
トロイ・グラース(ブルージェイズ)
 打率.262、本塁打20、打点62
ブライアン・ロバーツ(オリオールズ)
 打率.290、本塁打12、打点57

(NPB現役選手)
アレックス・カブレラ(前西武)
 打率.295、本塁打27、打点81
ジェフ・ウィリアムス(阪神)
 1勝2敗、防御率0.96
アダム・リグス(東京ヤクルト)
 打率.217、本塁打3、19打点

(引退選手)
ホセ・カンセコ
 1887試合、打率.266、本塁打462、打点1407
チャック・ノブロック(ツインズなど)
 1637試合、打率.289、本塁打98、打点615、盗塁407
レニー・ダイクストラ(フィリーズなど)
 1278試合、打率.285、本塁打81、打点404、盗塁285
デービッド・ジャスティス(ブレーブスなど)
 1610試合、打率.279、本塁打305、打点1017
モー・ボーン(レッドソックスなど)
 1512試合、打率.293、本塁打328、打点1064
マット・フランコ(千葉ロッテなど)
 350試合、打率.283、本塁打44、打点163
クリス・ドネルス(オリックスなど)
 264試合、打率.288、本塁打42、打点142

※成績は現役選手は今季、引退選手は通算(フランコとドネルスは日本での成績)


<福盛(楽天)、レンジャーズへ移籍>

 東北楽天からFA宣言していた福盛和男投手がテキサス・レンジャーズへ移籍することが決まった。MLB公式サイトの情報によると、2年総額約300万ドル(約3億3900万円)の契約を結んだという。福盛の移籍で今オフFA権を行使してメジャー挑戦する日本人選手は4人目となる。

 福盛は95年、都城高からドラフト3位で横浜に入団。04年に近鉄に移籍したが、球団消滅に伴い、翌年から新規参入の楽天のメンバーに加わった。楽天では主にクローザー役として活躍し、06年には21セーブをあげている。今季もシーズン当初は順調にセーブ数を伸ばしていたものの、右ひじ痛のため、後半戦は戦線を離脱していた。

 レンジャーズは今季ア・リーグ西地区最下位。セットアッパーの大塚晶則投手が在籍していたが、右ひじの故障で後半戦を棒に振り、契約を解除されている。
◎バックナンバーはこちらから