(写真:ベルトを巻き、戦隊ヒーローの変身ポーズを取る白鳥 ⓒRIZIN FF)

 27日、『RIZIN.29』が丸善インテックアリーナ大阪で行われた。キックワンナイトトーナメントは決勝で白鳥大珠(TEAM TEPPEN)が皇治(TEAM ONE)を判定で下し、優勝した。MMAのバンタム級日本GP1回戦は金太郎(パンクラス大阪稲垣組)、大塚隆史(T GRIP TOKYO)、滝澤謙太(フリー)、アラン“ヒロ”ヤマニハ(ブラジル)が勝ち上がった。

 

 白鳥、皇治、梅野源治(PHOENIX)、髙橋亮(真門ジム)の4人が出場したワンナイトトーナメントは初戦から波乱が起きた。皇治と梅野の一戦。1ラウンド1分も経たぬうちに試合は止められた。懐に入った皇治の頭が梅野の顔面を直撃。ドクターチェックの末、<偶発性のバッティングによる>負傷によりノーコンテストの裁定が下った。
 
 白鳥は髙橋を1ラウンドKOで勝ち上がった。決勝はどうなるのか。主催者は参加者に確認を取った。梅野の戦う意志はあるものの、骨折、脳震盪の疑いもあるため、決勝は不可能と判断。白鳥vs.皇治が場内に発表された。「2回、戦うために大阪にやってきた」と白鳥。一方の皇治は榊原信行CEOによれば「落ち込んだ様子」だったという。
 
 心身共に優位なのは白鳥。ゴングが鳴った後も、その印象は変わらなかった。1ラウンドからリーチの長さを生かし、自分の間合いで試合を展開する。左ストレートからの右フックでダウンを奪う。懐に潜り込み攻撃を仕掛ける皇治がバッティング。それでも白鳥は「中に入らせた自分が悪い。それは自分の弱さ」と振り返った。
 

(写真:長い脚を生かした前蹴りで距離をうまくとった ⓒRIZIN FF)

 白鳥はKOこそできなかったものの、相手にペースを握らせなかった。判定は3-0で完勝。優勝賞金500万円を獲得した。しかし、白鳥は「何もさせず圧倒させたかった」と内容に満足していない。ベルトを手にしたことにも「これがキックボクシング最強という証ではない。ひとつの結果」と淡々としていた。
 
 主戦場はRISE。RIZINでの次戦はまだ決まっていないが、大晦日興行への色気を見せる。
「強い選手。僕に文句があるヤツもいっぱいいると思う。誰でもいい。僕とやりたい選手がいるなら全然やる。世界の強豪とも戦っていきたい。とりあえず組まれた試合をやる」
 総合格闘技(MMA)中心のRIZINにおいて、キックボクシングがメインを飾った大会で存在感を示した。
 
(文/杉浦泰介)