26日、東京オリンピック女子ソフトボールオープニングラウンド最終戦が神奈川・横浜スタジアムで行われた。4連勝で既に決勝進出を決めている日本代表は、明日27日の決勝で対戦するアメリカ代表に1-2敗れた。

 

◇オープニングラウンド

 二刀流・藤田、今大会チーム初完投(横浜スタジアム)

日本    1 =1000000

アメリカ  2 =0000011×

勝利投手 アボット(3勝1S)

敗戦投手 藤田(1敗)

本塁打 (ア)スチュワート1号ソロ

 

 明日の決勝を控え、日本はスタメンから正捕手の我妻悠香(ビックカメラ高崎BEEQUEEN)、キャプテンの山田恵里(デンソーブライトペガサス)を外し、打順も大きく組み替えた。先発は第3戦(対イタリア代表)以来の登板となる藤田倭(ビックカメラ高崎BEE QUEEN)が起用された。

 

 対するアメリカは打線こそ入れ替えはなかったが、“二枚看板”モニカ・アボットとキャット・オスターマンではなく、日本リーグHonda Rivertaでプレーする右腕のアリー・カーダを先発マウンドに送った。左投手のアボットとオスターマンに対し、目を慣れさせたくない思惑があったのだろう。

 

 互いに手の内を隠しつつ、“探り合い”の様相を呈したオーダーとなった。明日の決勝に備え、相手にイメージを植え付けるチャンスでもあり、打者のデータを取る機会だ。特に日本は我妻に代え、峰幸代(トヨタ自動車レッドテリアーズ)にマスクを被らせたことからもその狙いは窺い知れた。

 

 先制は日本。この日1番に起用された山崎早紀(トヨタ自動車レッドテリアーズ)がエラーで出塁すると、続く市口侑果(ビックカメラ高崎BEE QUEEN)が着実に送った。川畑瞳(デンソーブライトペガサス)がレフト前ヒットで一、三塁のチャンスをつくった。するとアメリカバッテリーがパスボール。山崎がホームに還り、1点を先取した。

 

 援護点をもらった藤田は、好投を見せる。初回を三者凡退に切って取ると、その後もスコアボードに「0」を並べた。バックの好守にも助けられ、ノーヒットピッチングを続けた。しかし、6回に初ヒットを許すと同点打を浴びた。

 

 打線は4、5回にランナーを出したものの追加点を奪えない。6回途中にオスターマン、7回からはアボットが登板すると完璧に抑えられた。2人の投球を間近で見ることができたが、ここまで防御率0.00の両サウスポーを決勝に向け、いいイメージで投げさせてしまったことも事実だ。

 

“決勝前哨戦”は延長タイブレーカーに突入せず、終わりを迎えた。藤田が先頭の蹴るシー・スチュワートにライトフェンスを越える一発を打たれ、サヨナラ負け。今大会初黒星を喫したものの、藤田が1人で投げ切った。4連投の後藤希友(トヨタ自動車レッドテリアーズ)と、3試合に先発した上野由岐子(ビックカメラ高崎BEE QUEEN)を休ませることができたのは大きい。

 

 決勝は20時プレーボール。オリンピック、世界選手権と常に覇権を争ってきた宿敵と金メダルをかけて戦う。

 

(文/杉浦泰介)